研究課題/領域番号 |
20K09004
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
田中 光司 三重大学, 医学系研究科, 客員教授 (10345986)
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研究分担者 |
問山 裕二 三重大学, 医学系研究科, 教授 (00422824)
奥川 喜永 三重大学, 医学部附属病院, 教授 (30555545)
大井 正貴 三重大学, 医学部附属病院, 准教授 (40418752)
楠 正人 三重大学, 医学系研究科, 寄附講座大学教員 (50192026) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 胃癌 / RNAメチル化 |
研究実績の概要 |
腹膜播種は胃癌の転移再発形式として最も頻度が高く、腹膜播種診断と治療は胃癌治療の中でも非常に重要な位置を占め,その成績は胃癌の予後を大きく左右するが未だ標準的治療と呼べる治療法は存在しない。RNAメチル化は、転写されたRNAレベルで生じる後天的修飾であり、発現遺伝子変質による機能変化や発現調節に関わると考えられ、近年RNAメチル化の癌進展における機能的機序解明が世界的一流紙に報告されている。一方で消化器癌の癌進展のプロセスでのRNAメチル化の関与やRNAメチル化そのもののバイオマーカーとしての有用性に関する研究は十分なエビデンスがなく、本研究は胃癌腹膜播種進展に関与するRNAメチル化と制御されるmRNA/miRNAに着目し、腹膜播種進展の機序を解明し、新たなバイオマーカーの検索と腹膜播種の治療戦略の確立を目的とした。 2021年度の実績を記載する。2020年度までに胃癌患者の腫瘍組織由来のRNAを用いてRNAメチル化に関与する標的分子の発現値を定量し、RNAメチル化を促進するMETTL3/METTL14/WTAP、ならびにメチル化RNAのsplicing/transportに関与するYTHDF1では低発現群で有意に生存予後不良であり、RNA脱メチル化に関与するFTOでは高発現群で有意に生存予後不良である事を証明しているが、本年度は特にFTOに注目し胃癌細胞株でFTOをノックダウンしたところ癌進展が抑制され、FTOを過剰発現したところ癌進展が促進される事が機能解析で判明した。今後は胃癌異種移植マウスモデルを用いてFTOの癌進展との関連をIn vivoで調査し、背景に存在する機序に関して検証実験も行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2020年度の実験計画に続いて、2021年度の実験計画でも胃癌細胞株を用いたFTOのノックダウン/過剰発現の実験では我々の仮説と矛盾のない、期待されたデータが得られている。次年度も実験計画を継続し本プロジェクトに関して論文化を目指す方向である。
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今後の研究の推進方策 |
前述の通り、本プロジェクトに関連した実験計画は、我々の仮説と矛盾のない、期待されたデータが得られており、次年度も実験計画を継続し本プロジェクトに関して論文化を目指していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2021年度におこなった胃癌細胞株を用いたFTOのノックダウン/過剰発現の実験では、比較的順調に我々の期待された結果が得られ、当初施行が必要と予測していた追加実験/検証実験が不要となり、予定よりも使用額が少なく次年度に使用する計画となる。2022年度は胃癌異種移植マウスモデルを用いてFTOの癌進展との関連をIn vivoで調査し、背景に存在する機序に関して検証実験も行う予定でありマウス実験ならびに細胞実験に必要な培養液や試薬などの物品費に必要な費用が生じる。また実験継続の上での実験助手の人件費、研究結果を学会発表するための旅費、論文出版代などの必要費用が生じる見込みである。
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