Fibroblast activation protein α(FAPα)はセリンプロテアーゼ ファミリーに属する細胞膜蛋白質であり、分解酵素として重要な機能を果たす。αSMAなどと同様に癌関連線維芽細胞(Cancer-associated fibroblast:CAF)のマーカーとして用いられる。CAFに発現するFAPαはゼラチナーゼやコラゲナーゼ活性を有し、細胞外マトリックスのリモデリングに働く。さらにT細胞やマクロファージを介して腫瘍免疫を低下させ、癌周囲環境で間質に発現するFAPαが、癌細胞の増殖や血管新生の促進、腫瘍免疫の抑制等、癌の進展に有利な微小環境を構築することが知られている。これまでに癌間質のFAPαの発現が癌患者の予後不良因子であると報告されている。これまでに、癌細胞に発現するFAPαがどのように予後に関与しているかについては明らかでない。本研究はFAPαの発現による癌や間質などがん微小環境への影響と臨床への影響などについて検討をおこなった。
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