研究課題/領域番号 |
20K09006
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
田浦 康二朗 京都大学, 医学研究科, 准教授 (80378629)
|
研究分担者 |
鶴山 竜昭 公益財団法人田附興風会, 医学研究所 第1研究部, 研究員 (00303842)
上本 伸二 京都大学, 医学研究科, 教授 (40252449)
田畑 泰彦 京都大学, ウイルス・再生医科学研究所, 教授 (50211371)
祝迫 惠子 同志社大学, 生命医科学部, 教授 (70625300)
瀬尾 智 京都大学, 医学研究科, 講師 (70646546)
福光 剣 京都大学, 医学研究科, 特定病院助教 (70700516)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 胆管 / 再生 / 生体材料 / ゼラチン不織布 |
研究実績の概要 |
ゼラチンは体内で酵素分解され、最終分解物はアミノ酸となる生体分解性の素材である。ゼラチンを利用した様々な製品が実臨床で使用されている。我々は日本毛織株式会社と協力して人工胆管の作製に着手し、不織布構造のゼラチンハイドロゲル(以下、ゼラチン不織布)を足場として採用し、これによる人工胆管を作製した。 生体材料の適正として、足場に細胞が浸潤し、組織構造を形成することが重要である。足場によって誘導されたさまざま細胞が、足場内でタンパク質や成長因子を分泌し、それらによってできた細胞外マトリックスに胆管上皮細胞や血管内皮細胞など特徴的な細胞が生着すると考えている。 我々は細胞外マトリックスの主成分として組織再生に重要なコラーゲンを分泌する線維芽細胞を用いて足場としての適正の評価を行った。ゼラチン不織布内に線維芽細胞が入り込み、足場内で増殖し、さらにコラーゲンタンパクが分泌されることを確認した。 小動物を用いた人工胆管の移植実験では、移植部位の経時的な評価を行い、ゼラチン不織布が、足場として、細胞浸潤、組織構造の構築を促した。ゼラチン不織布はやがて完全に分解され、胆管構造が再生されることを確認した。 これらの知見から大動物への移植実験のための人工胆管の試作を開始した。克服する課題は多く、大動物の胆管に吻合するための強度を得るためにはゼラチン不織布のみでは不十分であったので、強度を補完する目的で、ポリグリコール酸を組み込んだゼラチン不織布チューブを作製し、強度の向上を確認した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
人工胆管の作製は日本毛織株式会社と共同で開発しているが、コロナ禍の状況で試作等に遅れが生じている。また、医学部構内にある動物実験施設を利用して小・大動物実験を行っているが、特に昨年4月の緊急事態宣言以降、医学部構内と他研究室との往来が規制され、大動物実験についてはほとんど行えなかった。試作については、時間を要してはいるが、少しずつ進捗している。大動物実験については、今後のコロナ禍の情勢次第であり、いかんともしがたい。
|
今後の研究の推進方策 |
細胞実験、小動物実験の結果について学術雑誌に投稿を予定している。大動物実験の試作を継続し、移植実験を行う予定ではあるがコロナ禍のため、進められない可能性もある。大動物実験の結果を踏まえて、人工胆管についての特許申請を行う。
|
次年度使用額が生じた理由 |
コロナウィルス等の影響により計画通りの実験が進まなかったため
|