研究課題/領域番号 |
20K09011
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
沖 英次 九州大学, 大学病院, 講師 (70380392)
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研究分担者 |
北尾 洋之 九州大学, 薬学研究院, 教授 (30368617)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | LGR5 / ctDNA / NGS解析 / 遺伝子変異 |
研究実績の概要 |
基礎的検討:薬物療法後に手術を行った病理標本に残存する癌細胞組織から、癌幹細胞マーカーであるLGR5が発現しているsmall clusterが存在することを発見した。それらのsmall clusterは上皮性を維持し、一部はがん幹細胞様phenotypeを示し、薬剤耐性機構としてROSシグナリングが関与していることを示してきた。これをオルガノイドとマウスモデルを使ってこれまでに再現してきた。昨年はさらにこれを進め、マウスモデルを使用してRNAseq解析により薬剤耐性機構としてROSシグナリングが関与していることを検討している。さらにそこからシングルセルのエピゲノム解析を進め、薬剤処置後のdormant細胞から、wnt pathwayが活性化し増殖に移行する際に関与する因子を複数同定している(論文準備中)。
臨床的検討:上記の結果を踏まえ、癌の再発を効率よく検出するために、企業と協力して新しいctDNA検出システムを構築中である。このシステムは組織のNGS解析からその腫瘍のフォローアップに最適な遺伝子変異を選択し、その後は選択した複数の遺伝子のみでフォローするカスタムパネル検査となる予定である。現在他社のシステムでの末梢血のctDNAの検出の検討も同時行っている。それらのシステムを利用し、大腸癌の転移巣切除後の再発の発見を効率よく行うシステムの開発を進める。ゲノム検査が陰性であれば術後の治療は省略し、ゲノム検査が陽性であれば、術後の治療を早期に開始する総合的な治療方針を構築する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
基礎的検討は順調に推移し、本年度中に終了予定 臨床的検討は複数の企業と協力し、当初の予定とは異なった方向に発展する可能性がある。当初はマイクロアレイを用いた、gene assayの基礎検討と開発を行う予定であった。しかしctDNA(末梢血微量癌細胞)を使用した方法に変更して研究を継続予定である。
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今後の研究の推進方策 |
臨床的検討は、さらに拡大することで大規模臨床研究に発展する可能性があり、AMEDに同時に申請を行う予定。
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