研究実績の概要 |
本研究では門脈塞栓術とpartial TIPE ALPPSにおける再生肝細胞の形態の組織学的評価、また、再生能を定量的に測定、partial TIPE ALPPSにおける機能的再生を検証する 2024年度までには14例の門脈塞栓術、3例のpartial TIPE ALPPS症例を登録し手術関連死亡率は0%であった。登録患者について門脈塞栓術とPartial TIPE ALPPS患者の門脈塞栓前後の肝機能や肝容量を比較検討した。 残肝容量の増大率については過去の報告と同程度であった。肝再生前後にFLRV(予定残肝容量), ICG-K値, アシアロシンチグラフィーでの99mTc-GSA値を測定した。GSAで測定したFLRVをf-FLRV(functional-FLRV)と定義した。ICK-K値にCT上のFLRVの全肝に対する割合を掛け算したICG-Kremと、ICG-K値にf-FLRVの全肝に対する割合を掛け算したICG-GSA-Kremを設定し、肝再生前後の機能的なFLRVの評価法とした。肝再生前のFLRVは全肝容量の34%で、f-FLRVは28.8%だった(p = 0.493)。肝再生後はFLRVが42.1%に対してf-FLRVは49.1% (p = 0.493)で、肝容積の増大率はf-FLRVで有意に高率だった(10.1% vs. 16.4%, p = 0.04)。再生前後のICG-Kremは0.056と0.064に対して(p = 0.04)と有意にGSA群で良好であった。PVE/ALPPS後のFLRVの再生は、GSAで計測したf-FLRVがCTで測定したFLRVよりも有意に高率であり、形態的肝再生に加えて機能的肝再生が存在することが示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2024年4月現在、大量肝切除術前に門脈塞栓術術およびpartial TIPE ALPPSを要する患者を登録中である。門脈塞栓術症例を14症例、partial TIPE ALPPSを3症例 登録した。いずれの症例も門脈塞栓術、partial TIPE ALPPS前後の肝機能評価、肝容量評価を行なった。登録症例のうち全症例が大量肝切除を行われている。 切除した17症例のうちISGLSの術後肝不全の基準でGradeB以上を来したものは1症例で、手術関連死亡は0であった。 切除症例17例については切除された肝臓のうち塞栓領域、非塞栓領域の病理学的検索を行なっている。具体的にはパラフィン固定した組織標本にH.E.染色を行い 肝組織の類洞構造の変化、胆管や血管の増生、hepatocyteの形態変化(成熟度)を光学顕微鏡で観察する。2, 7組織学的にAlbumin (肝機能), AFP (肝機能), Ki 67 (増殖能), pH3 (増殖能), Hepatocyte growth factor(HGF)(増殖能), Proliferating cell nuclear antigen (PCNA) (増殖能), α-smooth muscle actin (血 管新生)の抗体で免疫染色を行い塞栓肝と非塞栓肝の機能的変化を精査中である。
|