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2023 年度 実施状況報告書

胃癌組織細胞外小胞の制御による癌微小環境治療に向けた基盤構築研究

研究課題

研究課題/領域番号 20K09021
研究機関大阪医科薬科大学

研究代表者

李 相雄  大阪医科薬科大学, 医学部, 教授 (40368080)

研究分担者 辻川 和丈  大阪大学, 大学院薬学研究科, 教授 (10207376)
谷口 高平  大阪医科薬科大学, 医学部, 講師 (70779686)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2025-03-31
キーワード細胞外小胞 / microRNA / 癌微小環境 / 消化器癌
研究実績の概要

本研究の目的は、消化器癌の手術標本から得られる組織由来細胞外小胞(Tissue-exudative Extracellular Vesicles: Te-EVs)の形態学的特徴や機能を解析し、癌の微小環境を明らかにすることである。COVID-19などの影響で胃癌症例が減少したため、大腸癌からもTe-EVsを回収し研究を進めた。形態学的な特徴の解析では再現性に乏しく、機能的解析に方針を転換した。
これまでの検証から、癌部、非癌部由来Te-EVsの細胞外マトリックス、マトリックスメタロプロテイナーゼに関連する癌増殖因子の発現やmicroRNAの発現変化を同定した。また、がん細胞はEV中にtRNAの断片である5'-tRNA fragmentを包含させ、炎症性サイトカインの産生を促進させることが同定され、がん細胞がEV中のRNA塩基の修飾を変えることで免疫機能の攪乱を誘導し、がん細胞の増殖に有利な微小環境を構築していることが示唆された。
また、大腸癌患者の術前術後の血液を収集し、同定したmicroRNAの変化を比較する実験を進めている。これによりTe-EVs由来のmicroRNAが血液中のmicroRNAの発現にどの程度影響を及ぼすかを明らかにする予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

当初は胃癌由来のTe-EVsの形態学的特徴の同定を中心に検証を進めていたが、実験結果の再現性が確保できない状況が続いた。さらに、COVID-19パンデミックの影響による検査数の減少、そしてピロリ菌除去治療による胃癌症例の減少が続き、計画していたペースで胃癌Te-EVsを収集することが困難な状況が継続した。途中から大腸癌Te-EVs収集にシフトし研究を進めたが、血液サンプルの収集に時間を要したため、全体として遅延が続いた。期間延長により、結果の発信を含めて当該助成による研究成果の報告を予定している。

今後の研究の推進方策

今後の研究の推進方策として以下の2点を計画している。第一に、分担研究者らが進めるTe-EVsによる免疫応答を中心とした癌微小環境への影響を明らかにするため、さらなる連携を深める。第二に、大腸癌Te-EVsから同定したmicroRNAが患者血液中にどの程度影響を及ぼしているかを検討し、これまでの成果をまとめる。現在、収集した血液サンプルを用いてmicroRNAのRT-PCRの準備を進めており、次年度に実施する状況になっている。これらの活動を通じて、当該助成による成果を科学的知見として論文などで発信する計画である。

次年度使用額が生じた理由

当初は胃癌由来のTe-EVsの形態学的特徴の同定を中心に検証を進めていたが、実験結果の再現性が確保できない状況が続いていた。さらに、COVID-19パンデミックの影響で検査数が減少し、ピロリ菌除去治療による胃癌症例の減少も続いたため、計画していたペースでTe-EVsを収集することが困難な状態が継続した。そのため、研究は大腸癌からのTe-EVs収集にシフトして進めたが、血液サンプルの収集にも時間がかかり、全体として遅延が続いている。このため、次年度には収集したサンプルを用いて実験を実施する必要がある。
次年度の計画としては、大腸癌Te-EVsに対して行ったmicroRNAシーケンスで同定されたいくつかのmicroRNAについて、術前術後の血液サンプルを用いてRT-PCRを実施し、Te-EVsが血液中にどの程度影響を及ぼしているかを検討する。また、臨床情報と照らし合わせてmicroRNAの発現変化の意義を適宜検証する。このアプローチにより、遅れている研究を加速し、計画通りに成果を得ることを目指す。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2023 その他

すべて 学会発表 (1件) 備考 (1件)

  • [学会発表] 大腸癌EVs-RNAにおけるm6A修飾レベルの低下は自然免疫応答を撹乱し腫瘍促進的に働く2023

    • 著者名/発表者名
      神宮司健太郎、高野義章、李相雄、谷口高平、小村和正、辻川和丈
    • 学会等名
      第10回 日本細胞外小胞学会学術集会
  • [備考] 大阪医科薬科大学 一般・消化器外科学教室 研究紹介

    • URL

      https://www.ompu.ac.jp/u-deps/sur/html/laboratory.html

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公開日: 2024-12-25  

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