研究課題
昨年度再構築した胃癌の一般組織型すべてを対象としたリンパ節転移診断アルゴリズムの臨床的有用性の検討を中心に行った。学習用データは、本研究で提案を行った手法(同一の切片からヘマトキシリン・エオジン染色画像と抗サイトケラチン免疫組織化学染色画像を取得する方法)で作製し、ResNet-152の特徴量抽出層から全結合層に至るすべての重み付けをチューニングしたものと、ImageNetで事前学習した後、全結合層のみをfine-tuningしたものを比較したところ、後者の方でより高い精度が確認された。そこで、後者のアルゴリズムを用いて50%以上の転移確率を占める領域を組織画像上に提示するAIアシストアプリケーションを作成し、千葉大学ばかりではなく、その他の施設を含めた新たな検証用データを用意して、その有用性を明らかにする臨床試験を行った。その結果、マクロ転移、及びIsolated tumor cells(転移巣の大きさ0.2mm未満)を有するリンパ節、転移陰性リンパ節においては、診断精度、診断時間共にAIアシストの有無で有意差を認めなかった。しかしながら、微小転移(転移巣の大きさ2 -0.2mm)においては、統計学的有意にAIアシストにより診断精度が向上したが、診断時間は逆に延長した。その原因を精査したところ、学習用データに含まれない施設から得た画像データや、腫瘍細胞が組織球と混在しびまん性に広がる胃癌に特徴的な転移形式が関係していることが明らかとなった。この研究成果はInternational Journal of Clinical Oncologyに投稿した。また、微小転移診断の性能向上を目指して、GoogleNet, Vision tranformertなどの異なるアルゴリズムで再検討を行ったところ、後者で未分化型胃癌の転移の診断精度向上に貢献する可能性が示された。
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International Journal of Surgical Pathology
巻: 2022 ページ: 1-7
10.1177/10668969221113475