研究課題/領域番号 |
20K09028
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
山本 陽子 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (30376644)
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研究分担者 |
石原 聡一郎 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (00376443)
河津 正人 国立研究開発法人国立がん研究センター, 研究所, ユニット長 (20401078)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | マイクロサテライト不安定性 / 大腸癌 / MSI-H / MLH1メチル化 / POLE |
研究実績の概要 |
高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-H)大腸癌はマイクロサテライト安定性(MSS)大腸癌に比べ予後が良いとされているが、MSI-H大腸癌の中でもDNAミスマッチ修復遺伝子の1つであるMLH1遺伝子プロモーターのメチル化に起因した群はMSI-H大腸癌全体の約2/3と大多数を占め再発後の予後が不良である。また、MSI-H癌では免疫チェックポイント阻害薬の奏功率が高いとされているが、MSI-H癌であっても免疫チェックポイント阻害薬が奏功しない症例も多く、奏功を左右する要因についても不明な点が多い。そこで本研究では、予後良好とされるMSI-H大腸癌の予後不良化メカニズムを解明するため、MSI-H大腸癌の中でDNAミスマッチ修復遺伝子の1つであるMLH1遺伝子プロモーターのメチル化に起因した群(MM群)の臨床検体から臓器様構造体であるオルガノイドを作製し、KRAS/BRAF両野生型でキナーゼ融合遺伝子を持つものと持たないものを比較することにより、MM群におけるキナーゼ融合遺伝子の発生メカニズムの解明を目指す。また、腫瘍のゲノム領域あたりの体細胞変異数(Tumor Mutation Burden,TMB)が高いとされるPOLE変異大腸癌のスクリーニングおよびゲノム解析を行い、既に得られているMSI-H大腸癌ゲノム情報との比較を行うことにより、免疫チェックポイント阻害剤の奏功を左右する因子の同定を目指す。 現在までに所属大学における研究倫理に関わる一連の手続きが完了し、POLE変異大腸癌症例のスクリーニングを行うとともに、MSIおよびMLH1遺伝子プロモーターのメチル化解析手法の改良を行いMSI-H大腸癌症例のスクリーニングを行なっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言の影響により、学内での研究活動制限があり年度始めの2ヶ月間は研究を実施することができなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
今後も引き続きPOLE変異大腸癌症例とMSI-H大腸癌症例のスクリーニングを行うとともに、スクリーニングによって得られたPOLE変異大腸癌症例およびMSI-H大腸癌症例についてNGS解析を行う予定である。また、臨床検体を用いたオルガノイド培養系の確立を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言に伴う学内の研究活動制限により研究の進捗に遅れがあったため。
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