研究課題/領域番号 |
20K09035
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
木村 和恵 九州大学, 大学院医学研究院, 准教授 (70631927)
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研究分担者 |
沖 英次 九州大学, 大学病院, 講師 (70380392)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | がん幹細胞 / 酸化損傷修復 |
研究実績の概要 |
食道癌は消化管癌において選択可能な抗癌剤治療薬が少なく、依然として予後不良の難治性癌であり、治療成績の向上が望まれる。本研究では、食道前がん病変の進展抑制による治療に着目し、がん幹細胞に関与し浸潤転移を促す因子を制御する新しい分子標的治療の開発を目指す。 酸化的DNA損傷修復に関与する遺伝子多型とp53遺伝子変異との関係が明らかになった。さらに、がん幹細胞の指標とされるCD44v9発現の臨床病理学的意義およびEMTとの関係を明らかにした。CD44v9の発現と比較検討したところ、CD44v9はEMT群の腫瘍先進部で発現が高かった。さらに臨床病理学的因子と比較検討したところ腫瘍先進部におけるCD44v9発現は深達度が深く、EMT症例が有意に多かった。さらに、腫瘍先進部におけるCD44v9発現陽性群は有意に予後不良であった。以上から腫瘍先進部のCD44v9発現が、EMTおよび予後不良に関与することが示唆された。また、CD44v9高発現/EMT陽性群は、リンパ節転移、 リンパ管侵襲、進行度が有意に高度であり、 有意に予後不良であった。MTH1高発現/EMT陽性群は、リンパ節転移、 脈管侵襲、進行度が有意に高度であり、 有意に予後不良であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
がん幹細胞と浸潤に関与する遺伝子の関連性を明確にすることが証明された。
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今後の研究の推進方策 |
CD44v9をノックアウトさせた食道癌細胞株を用いて浸潤能と遊走能を確認し、増殖能の変化、抗酸化能の変化などを観察する。遺伝子発現ノックイン、ノックダウンなど、組換えDNA実験を行う。その後、hMTH1遺伝子多型を組み込んだ食道癌細胞株において、同様の実験を行う。食道癌細胞株の増殖、浸潤能の変化により、幹細胞特異的なシグナル伝達を検索し新しい治療法の構築を行う。臨床検体で抽出されたmiRNAに関して、測定対象とした組織中のRNAの発現及び活性化を組織染色、DNAチップ、リアルタイムPCR、ウェスタンブロット法による解析を行ない、miRNAアレイにより取得された特異的活性化プロファイルデータの有効性を証明する。
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