研究課題/領域番号 |
20K09040
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研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
三村 耕作 福島県立医科大学, 医学部, 准教授 (90568031)
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研究分担者 |
花山 寛之 福島県立医科大学, 医学部, 助教 (00622333)
河野 浩二 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (40283204)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | PD-L1 / PD-L2 / LSECtin / Ceacam-1 |
研究実績の概要 |
・胃癌細胞株を用いた実験で、各細胞株をIFN-γの存在下に培養し、PD-L1とPD-L2の発現状況をflow cytometryで検討した。その結果、ほぼ全ての細胞株でPD-L1の発現は増強し、一部の細胞株においてはPD-L2の発現も増強した。 ・胃癌症例の手術切除標本を用いて免疫染色を行った。福島県立医科大学消化管外科で胃切除術が施行された胃癌194症例を対象とし、PD-L1とPD-L2の発現状況を検討した。その結果、16.0%の症例で両者は腫瘍細胞に共発現しており、17.0%の症例ではPD-L1のみ、12.4%の症例ではPD-L2のみが腫瘍細胞に発現していた。また、National University Hospital of Singaporeで胃切除術が施行された胃癌365症例を対象とし、腫瘍細胞におけるPD-L1、Lag-3 ligands、Ceacam-1の発現を多重蛍光免疫染色で評価した。その結果、34.7%の症例において全ての分子が共発現しており、さらに76%の症例で何れかの分子が発現していた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
理由 ・現在までに、TCGAの解析、胃癌細胞株を用いたin-vitroの実験と解析、胃癌切除標本を用いた免疫染色、多重蛍光免疫染色とその評価が予定通り終了した。 ・胃癌細胞における、PD-L1とPD-L2の発現メカニズムの違いについて検討を行っている。 ・今後予定している実験の準備を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
・免疫染色、多重蛍光免疫染色の結果を基に、PD-L1、PD-L2、Lag-3 ligands、Ceacam-1の発現と病理組織学的因子との関連について検討する。また、それらの発現と予後との関連についても検討する。さらに、腫瘍浸潤免疫担当細胞におけるPD-L1とPD-L2の発現状況についても検討する。 ・細胞傷害性T細胞を用いて、PD-1/Lag-3/Tim-3経路を介する免疫抑制の解除方法を検討する。先ず、PD-L1/PD-L2/LSECtin/Ceacam-1を発現している胃癌細胞株を同定する。それらを標的とし、抗PD-1抗体/抗PD-L1抗体/抗PD-L2抗体/抗Lag-3抗体/抗Tim-3抗体の存在下(単剤または併用)で、誘導した細胞傷害性T細胞を用いてcytotoxic assayとELISpot assayを施行する。
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次年度使用額が生じた理由 |
・当該年度は、新型コロナウイルス感染症の影響で学会発表がWEBで行われたために旅費の使用が少なかった。 ・次年度は、細胞傷害性T細胞の誘導やcytotoxic assay、ELISpot assayなどを行う予定である。それらの実験に用いる物品(サイトカイン、assay kit、消耗品等)の購入、また、研究成果の発表(旅費)に助成金を使用する予定である。
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