研究実績の概要 |
① TCGAの胃癌データ(PanCancer Atlas, n=401)を用いた解析より、PD-L1とPD-L2(r=0.55, p<0.001)、PD-L1とCEACAM-1(r=0.22, p<0.001)、PD-L1とMHC class II (r=0.42, p<0.001)の発現に有意な相関関係を認めた。さらに、CD8 T effector gene signatureとPD-L1/ CEACAM-1においても有意な相関関係を認めた(各々 r=0.60 p<0.001, r=0.15 p=0.002)。 ② 胃癌細胞株を用いた実験で、各細胞株をIFN-γの存在下に培養したところ、ほぼ全ての細胞株でPD-L1の発現は増強し、一部の細胞株においてはPD-L2の発現も増強した。 ③ 胃癌手術切除標本を用いた免疫染色では、16.0%の症例でPD-L1とPD-L2が腫瘍細胞に共発現し、17.0%の症例でPD-L1のみ、12.4%の症例でPD-L2のみが腫瘍細胞に発現していた (n=194)。胃癌手術切除標本を用いたPD-L1、Lag-3 ligands(LSECtinとMHC class II)、CEACAM-1の多重蛍光免疫染色より、34.7%の症例で全ての分子が共発現しており、76%の症例で何れかの分子が発現していた(n=365)。また、Lag-3 ligandsとCEACAM-1の発現は、overall survivalと有意な関連があった。 ④ 細胞傷害性T細胞(CTL)を用いた実験で、抗PD-1抗体/抗PD-L1抗体/抗PD-L2抗体/抗Lag-3抗体/抗Tim-3抗体は、標的となるリガンドを発現する胃癌細胞株において、CTLのIFN-γ産生能と細胞傷害能を増強した。さらに、これらを併用することで相加効果を認めた。 ⑤ これらの結果を食道癌症例、大腸癌症例、免疫チェックポイント阻害剤不応性消化管転移症例に応用し、追加解析を行った。
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