本研究では,膵癌患者における腫瘍細胞および骨格筋細胞上のCD36の発現程度と両者の分布を解析し,次に,腫瘍細胞においてはCD36がその転移能,増殖能に及ぼす役割を確認,骨格筋細胞においてはその脂肪化へ果たす役割と脆弱性との関連性を明らかにすること.及び,運動介入によりCD36の発現が変化し,その変化に伴って転移能・増殖能および骨格筋脂肪化が改善するかを検証し,最終的には,CD36という指標に基づいた,腫瘍細胞の転移・増殖能制御および患者脆弱性の改善を目標とした新規膵癌運動介入療法を開発することを目的とするものあった. 研究期間を通じて, 高脂肪食を与えたマウスモデルを作成し,さらに同マウスモデルを用いた皮下腫瘍モデル,腹膜播種モデルを作成し,担癌状態におけるCD36の発現状況を確認した上で,化学療法,放射線治療介入時のCD36の変化と骨格筋脂肪化増悪のメカニズムの解明,さらには,運動介入が担癌マウスに与える影響の検討し,最終年度においては,運動介入が担癌マウスの免疫機構与える影響の検討を開始する予定であったが, C57BL-6 マウスおよびストレプトゾシン誘発糖尿病マウス(C57BL-6NCrlCrlj) モデルにおいて,安定したCD36発現を得ることが困難であったため,脆弱性を持つ膵癌患者に類似したマウスモデルの作成が困難を極めた. そのため,研究協力者の協力を得ながら, 現在原因の究明,新規マウスモデルの作成を行なっているところである.
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