研究課題/領域番号 |
20K09052
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
河野 寛 山梨大学, 大学院総合研究部, 特任准教授 (40322127)
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研究分担者 |
細村 直弘 山梨大学, 大学院総合研究部, 助教 (60402070)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | マクロファージ / 細菌性腹膜炎 / サイトカイン / エクソゾーム |
研究実績の概要 |
【方法】ラット穿孔性腹膜炎モデル(cecal ligation and puncture model: CLP )作成12時間後に採取した血液よりexosome(Exo)を遠心法により分離し、正常ラットに尾静脈より静注した。投与後24時間での肺の病理組織変化、肺に浸潤する好中球数を検討した。さらに、Toll like受容体4(TLR4)拮抗剤と、肝マクロファージ(KC)除去目的のためのリポソーム封入クロドロネート(liposome-encapsulated clodronate)を投与した動物にExoを静注したCLPモデルにおいても検討した。正常ラットより肝マクロファージ(Mf)と肺間質Mfを分離し、Exo刺激による肝Mfと肺Mfの活性化をTNF-alpha産生より評価検討した。また、TLR4受容体拮抗剤を共培養した系においても臓器Mfの活性化を検討した。 【成績】CLPモデル作成後、すべての動物が生存した。CLPモデルラット由来Exoの正常ラットへの投与は、肺の炎症細胞浸潤と急性肺障害を誘発した。これらの変化はTLR4受容体拮抗剤と肝マクロファージの除去により改善した。肝Mfならびに肺MfはExo刺激によりTNF-alpha産生が増加し、この活性化は肝Mfで特に増強した。また、MfのTNF-alpha産生はTLR4受容体拮抗剤により有意に低下した。 【結論】穿孔性細菌性腹膜炎において、血中Exoは急性肺障害を惹起することが明らかとなり、その機序の1つとしてExo刺激によるTLR4を介した臓器Mfとくに肝Mfの活性化の関与が考えられた。細菌性腹膜炎における肝臓と肺の臓器相関が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和3年度に予定していた検討項目は、90%終了できた。エクソゾーム分画に関する検討を継続中である。
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今後の研究の推進方策 |
令和3年度に予定していて、行うことができなかった検討項目を終了させるとともに、令和3年度から4年度にかけて予定している検討項目を順次進めていく。エクソゾームを構成する分画によるマクロファージ活性化の解析と、その機序を確認していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた検討項目を全て終了することができなかったため、次年度への繰り越しとし、予定する検討項目を全て終了するために使用する予定である
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