【方法】ラット穿孔性腹膜炎モデル(cecal ligation and puncture model: CLP )作成12時間後に採取した血液よりexosome(Exo)を遠心法により分離し、正常ラットに尾静脈より静注した。投与後24時間での肺の病理組織変化、肺に浸潤する好中球数を検討した。さらに、Toll like受容体4(TLR4)拮抗剤と、肝マクロファージ(KC)除去目的のためのリポソーム封入クロドロネート(liposome-encapsulated clodronate)を投与した動物にExoを静注したCLPモデルにおいても検討した。正常ラットより肝マクロファージ(Mf)と肺間質Mfを分離し、Exo刺激による肝Mfと肺Mfの活性化をTNF-alpha産生より評価検討した。また、TLR4受容体拮抗剤を共培養した系においても臓器Mfの活性化を検討した。【成績】CLPモデル作成後、すべての動物が生存した。CLPモデルラット由来Exoの正常ラットへの投与は、肺の炎症細胞浸潤と急性肺障害を誘発した。これらの変化はTLR4受容体拮抗剤と肝マクロファージの除去により改善した。肝Mfならびに肺MfはExo刺激によりTNF-alpha産生が増加し、この活性化は肝Mfで特に増強した。また、MfのTNF-alpha産生はTLR4受容体拮抗剤により有意に低下した。【結論】穿孔性細菌性腹膜炎において、血中Exoは急性肺障害を惹起することが明らかとなり、その機序の1つとしてExo刺激によるTLR4を介した臓器Mfとくに肝Mfの活性化の関与が考えられた。細菌性腹膜炎における肝臓と肺の臓器相関が示唆された。
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