研究課題
2022年度についてはこれまでに得られた各種癌細胞株の代謝プロファイリング・代謝阻害剤による代謝変容の結果を元に、大腸癌細胞株HT29由来の担がんマウスモデルを用いて超偏極13C-MRIを撮像する手法でin vivo代謝モニタリングを行った。これらの薬剤による生体腫瘍内でのピルビン酸代謝状態と代謝阻害剤のon-target効果(代謝変容)を観察できることが明らかとなった。また、これらの結果を元に担がんマウスモデルに対して各代謝阻害剤を投与したところ、実際に抗腫瘍効果が得らことが明らかとなった。本研究全体を通じて、担がんマウスモデルながら、(1)大腸がん細胞に対するLDH阻害剤の薬剤効果が有ること、(2)超偏極13C-MRIを用いることで生体腫瘍組織内LDH活性をリアルタイムに観察できること、(3)超偏極13C-MRIを用いてLDH阻害剤(低分子代謝阻害剤)の治療効果判定及び治療効果予測が可能であること、を明らかにすることができた。すなわち、新しい画像技術である超偏極13C-MRIを用いて腫瘍内LDH活性を可視化することで、LDH活性が高い“解糖系依存型”の癌を抽出し、LDH阻害剤のがん組織内でのLDH阻害効果を評価し、実際にLDH阻害剤による抗腫瘍効果が得られる腫瘍の選別が可能である、ということを明らかにすることができた。以上から、超偏極13C-MRIによる大腸がん組織内代謝のリアルタイムな可視化によって治療選択を行うという、超偏極13C-MRIを用いた新しい癌代謝標的治療モデルを臨床へ応用できる可能性があることも明らかとなった。
すべて 2023 2022 その他
すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 4件、 招待講演 2件) 備考 (1件)
Langenbeck's Archives of Surgery
巻: 408 ページ: AN38
10.1007/s00423-023-02808-5
American Association for the Advancement of Science (AAAS)
巻: 8 ページ: eabj2667
10.1126/sciadv.abj2667
Journal of the American College of Surgeons
巻: 235 ページ: S5-S16
10.1097/01.XCS.0000893008.02117.d2
https://journals.lww.com/journalacs/Fulltext/2022/11001/American_College_of_Surgeons__Owen_H_Wangensteen.5.aspx