研究課題/領域番号 |
20K09056
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
植村 守 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (10528483)
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研究分担者 |
高橋 秀和 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (10528508)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 大腸癌 / 幹細胞 / 低酸素 / 低プロテアソーム活性 |
研究実績の概要 |
大腸癌幹細胞(CSC)に関する我々のこれまでの研究では、従来の幹細胞研究で用いられてきた既知の表面マーカではなく、CSCの基本的特徴である低プロテアソーム活性(LPA)に着目して研究を進めてきた。従来の手法と異なる観点からアプローチすることにより、新しい知見が得られる可能性が高いと考えられた。主たる手法として、低プロテアソームを標識するimaging vectorを利用してLPA大腸癌細胞を分離し、高い癌細胞性を検証してきた。さらに、LAPが癌幹細胞性とどのようなかかわりを持つのかを検討し、癌幹細胞治療につなげるべく機能解析を進めるため、LPA下での遺伝子発現変化をマイクロアレイにより解析した。その結果、Wnt経路の上流遺伝子や、低酸素誘導遺伝子が有用な探索候補としてピックアップされた。現在、これらの候補遺伝子と癌幹細胞性や治療抵抗性に関して細胞実験を適宜進めているところである。特に、発癌にも強く寄与している可能性の高い候補遺伝子(Wnt経路の上流遺伝子)に関しては、細胞実験に続いて、スムーズに動物実験を遂行できるようにするために、共同研究者である信州大学基盤研究支援センター 遺伝子実験支援部門においてノックアウトマウスが作成済みであり、自然発癌への寄与度に関して検討を進めている。 低酸素誘導遺伝子に関しては、長期低酸素暴露により誘導されてくる遺伝子が癌の悪性度、治療抵抗性に深く関わっていることが示唆されており、長期低酸素暴露下に誘導される遺伝子に着目して検討を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初もっとも有用であると考えられたWnt経路の上流遺伝子に関しては、細胞株を用いて、機能等の検討を進めている。大腸癌細胞では、発現が抑制されていることから、ノックダウンの系は安定した実験系を樹立できておらず、強発現による評価を進めているところである。また、同時に、発癌に強く寄与している可能性があるため、ノックアウトマウスに関しては、まずは自然癌に寄与するかどうかを探索中である。 上記実験に並行して、低酸素関連遺伝子に関しては、特に、長期間の低酸素環境により誘導される遺伝子が、癌の治療抵抗性などに大きく関わっている可能性が高いことが分かってきており、更なる検討を加えているところである。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、これまでターゲットにしたWnt経路の上流遺伝子に関しては実験を進めつつ、同時に低酸素下により誘導、又は抑制される、癌幹細胞性や治療抵抗性に係る候補遺伝子について細胞実験を行い、低プロテアソーム活性-癌幹細胞性-治療抵抗性のキーワードを結びつける因子の同定を進める予定である。 ノックアウトマウスに関しては引き続き、自然発癌に寄与するかどうかを探索していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍により研究・実験の進捗が遅れているため
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