症例特異的変異を標的としたdigital PCRを用いた食道癌、大腸癌、胃癌において、Circulating tumor DNA (ctDNA)モニタリングが、「早期再発見」「無再発状態の確証」「化学療法治療効果予測」において臨床的妥当性を有することを明らかにした。 1)早期再発見:対象とした消化器癌では画像所見による再発診断の約6か月先行してctDNAの上昇が見られることを明らかにした。2)無再発状態の確証:52例の大腸癌切除症例の検証では、無再発42症例では術後ctDNAの陰性化が維持していることを明らかにした。以上より、根治治療後のサーベイランスにおいてctDNAモニタリング検査が有用であることを明らかにした。3)化学療法治療効果予測:食道癌初回化学療法の1サイクル前後のctDNAの変動割合(治療前に対する治療後のctDNAの変異アリル頻度の割合)が13%以下に低下する群は非低下群に比し有意に奏効率、奏効持続期間、予後が良好なことを明らかにした。 本検査の日常臨床での有効な活用法を見出すため、当院ではctDNAモニタリング検査を自由診療として使用できるよう整備した。また、ctDNA変動による化学療法効果判定と既存の画像検査による判定の精度を比較する前向き臨床試験の開始につながった。
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