研究課題/領域番号 |
20K09073
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
佐々木 亘亮 千葉大学, 大学院医学研究院, 特任助教 (90836181)
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研究分担者 |
高野 重紹 千葉大学, 医学部附属病院, 講師 (20436380)
大塚 将之 千葉大学, 大学院医学研究院, 教授 (90334185)
賀川 真吾 千葉県がんセンター(研究所), 肝胆膵外科, 主任医長 (90507302)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 膵癌 / C4BPA |
研究実績の概要 |
本研究は、Tandem Mass Tags (TMT) labelingとLC-MS/MSを用いた網羅的蛋白解析より新規バイオマーカーとして同定した補体因子C4b-binding protein alpha chain (C4BPA)に注目し、癌周囲微小環境内でC4BPA-CD40 Axisが癌進展機構に寄与する影響を解明することを目的とした。 当科での膵癌切除検体の免疫染色ではC4BPAは膵癌間質に発現し、間質C4BPA低発現群は独立した予後不良因子であった。CD40(C4BPAのbinding partnerの一つ)と、腫瘍浸潤リンパ球(CD8)の免疫染色では、C4BPA/CD8発現は正の相関を認め、蛍光免疫染色ではC4BPA/CD40/CD8は膵癌周囲間質にて共発現していた。 In vitroでは、膵癌細胞株はC4BPA低発現でCD40に注目した。CD40 knockdown膵癌細胞は増殖能が低下したが、rhC4BPA刺激にて細胞増殖を認めた。PBMCをrhC4BPA刺激すると、FACS解析にてCD4/CD8増殖作用を有していた。 In vivoでは、遺伝子改変マウス膵臓より単離培養したPDAC細胞により同所性同種移植マウスを作成し、Control/化学療法(GnP)/GnP+免疫治療(ICBs) /GnP+ICBs+mC4BPA peptideの4群でC4BPAの抗腫瘍効果を確認した。mC4BPA peptide投与群は腫瘍体積減少した個体割合が他治療群に比較して高かった。蛍光免疫染色では膵癌周囲にmC4BPA peptideが発現し、mC4BPA/CD8は共発現していた。 膵癌においてC4BPAは腫瘍周囲微小環境にrecruitされ、TILsを誘導することで抗腫瘍効果を増強することより、C4BPA-CD40 Axisが膵癌の新規治療標的となりうる可能性が示唆された。
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