進行胃癌に対する審査腹腔鏡の適応となる症例はようやくコロナ感染がおちついて増え始めた。しかし最終年の1年間で、腹壁転移細胞(P細胞)および洗浄腹腔内浮遊細胞(CY細胞)がひとりの患者から採取できたのは2症例のみで、昨年までの症例と加えて5症例となった。それぞれのサンプルからRNAを抽出し、さらにcDNAを作成してストックした。 これら5症例でP細胞およびCY細胞の両方からRNAを抽出したが、十分なmRNAを生成できたのは4症例であった。これらから接着因子にかかわるmRNAの発現を検討したが、CD44をはじめとするmRNA発現には差をみとめなかった。 マウス実験については、NOD/SCIDマウスに胃癌セルラインを腹腔内投与して腹膜播種モデル作成を試み、NCI-N87細胞だけでなく、食道胃接合部癌細胞株であるOE19でも、である程度生着することを確認した。それぞれの細胞株で腹膜播種のモデルを作成することに成功した。現在、マウス腹腔内で、CY細胞およびP細胞を採取した状況である。
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