研究課題
我々は食道癌患者の癌組織と血中エクソソーム内のsmall RNA解析を行い、その中に多くの transfer RNA断片 (tRNA fragment:tRF) を確認してきた。また食道癌患者と健常者血清中のmicro RNA (miRNA) の発現を比較し、食道癌早期診断のための診断パネルを作成し報告した。(Ibuki Y, Hamai Y, et al. Circulating microRNA/isomiRs as novel biomarkers of esophageal squamous cell carcinoma. PLoS One. 2020;15:e0231116) 本研究は、低酸素環境で培養した食道癌細胞株と食道癌患者の血清を用いてエクソソーム内の small RNA を網羅的に解析し、癌患者で特異的に発現し悪性度や治療効果、予後と相関するtRFを同定し、その機能解析を行うことを目的としている。現在までに食道扁平上皮癌細胞株の培養上清のエクソソームから内包RNAを抽出し、次世代シークエンサーを用いてsmall RNAの網羅的解析を行った。低酸素環境ストレス下において有意に発現が変化するmiRNAおよびtRFを抽出し、これまで解析してきた食道癌患者の血清で同定されたtRFと食道癌切除組織から抽出したRNAのtRF発現を比較した。これにより食道癌の臨床病理学的因子や化学・放射線療法の治療効果と相関する候補tRFを選定した。これらのtRFを細胞株に導入し発現上昇株を作製。またRNAインヒビターにより発現抑制細胞株も作製した。現在までに、これらの食道癌細胞株を用いて細胞浸潤・遊走能および種々の抗がん剤感受性について解析を行った。また食道癌で発現が低下している細胞老化誘導 miRNAを同定し、細胞株への導入により増殖抑制効果を示すことを確認し、さらなる機能解析を行った。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件)
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