研究課題
補体C5aおよびその受容体であるC5a受容体(C5aR)は細菌感染以外にも関節リウマチ、 敗血症、肺炎、動脈硬化、白血病を増悪させる因子として注目されている。肺癌・乳癌のcancer associated fibroblasts (CAFs)は自身の細胞膜に発現したC5aR(GPR77)とそのリガンドであるC5aを細胞膜上で反応させることで p65リン酸化、NF-κBを活性化し炎症性サイトカイン(IL-6,8)を分泌し癌幹細胞の機能維持や乳癌の制癌剤耐性に重要な役割を示していることが明らかとなった。 膵癌においても癌幹細胞は制癌剤耐性に寄与していることから、C5a-C5aRを治療ターゲットとすることで癌幹細胞を制御し新たな膵癌治療につながる可能性がある。以上から癌組織から抽出したCAFsはC5aRを介してさまざまなサイトカインを分泌し癌の進展や制癌剤耐性あるいは癌幹細胞の機能維持を介して予後を悪化させている可能性があるが、果たして膵癌においてCAFsがC5aRを介した癌進展・制癌剤耐性に寄与しているかは明らかではない。C5aRを発現した膵癌細胞をターゲットとするだけでなく、CAFs上に発現したC5aRあるいはCAFsから分泌されるC5aをターゲットすることで新たな癌治療の道を切り開く可能性がある。今までの研究結果として、C5aR陽性の膵癌由来CAFsにおいてC5aと反応することでactivateされること、さらにC5aで刺激したCAFsとCancer cellを共培養することでCancer cellの浸潤能が高まることが明らかとなった。一方でC5aと膵癌幹細胞の関連性についてsphere形成能を検討したがC5aと癌幹細胞との関連性と示すことはできなかった。C5aで刺激したCAFsがどのようなメカニズムで癌細胞の浸潤能を亢進させているかメカニズムについては今後さらに検討する予定である。
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