研究課題/領域番号 |
20K09096
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
田中 直樹 東北大学, 大学病院, 講師 (60547404)
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研究分担者 |
井本 博文 東北大学, 大学病院, 助教 (20754922)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 減量・代謝改善手術 / NASH / 胆汁酸 / 十二指腸空腸バイパス術 |
研究実績の概要 |
十二指腸空腸バイパス術(Dudenal-jejunal-bypass: DJB)は、減量・代謝改善手術の一術式であるスリーブ状胃切除術+十二指腸空腸バイパス術のうち胃の形成を付加せず、摂食制限を伴わない純粋なバイパス手術の機能をみるための実験モデルである。今回、独自に作成した食餌誘発性NASHモデルラットに対して、そのバイパスされる腸管を様々に調整したDJBを行い、治療効果との関係を検討することで、NASHに対する減量・代謝改善手術の代謝改善機序の解明に迫ることを目的としている。DJBでは、胃癌術後のRoux-en-Y再建の様な消化管再建術を行う。小腸は、食事のみが通過するAlimentaly limb、胆汁膵液のみが通過するBilio-pancreatic limb、食事と胆汁膵液が混和し、消化・吸収の場となるCommon channelに分けられる。我々のグループでは、BPLの長さがに比例して代謝改善効果と血中胆汁酸濃度がパラレルに変化し、さらにBPLを切除するとそのバイパスをしているにもかかわらず、その治療効果がキャンセルされるという知見を得ている。 今回は、食餌誘発性NASHモデルラットを用いて、DJBモデルでのNASH改善効果とBPL切除による影響を胆汁酸動態と腸管炎症の基軸から検証している。 これまでに、BPLの切除でNASH改善効果がキャンセルされること。DJB後に観察された炎症関連マーカーの低下がBPLの切除で再燃すること。エンドトキシン受容体も同様の推移をするため、原因として腸管炎症の変化が関与している可能性がありることを見いだした。 腸管炎症の変化は、胆汁酸動態の変化やこれに起因するDysbiosisやメタボライツの変化に影響を受けている可能性があり、今後の検討課題と考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今回の実験では、DJBの術式で腸管の切除・吻合部胃を調整した新しいモデルの作成を予定していたが、現時点であんていしてモデル作成できるとは言えない。そこで、モデル作成への挑戦を継続しながらも、DJBのNASH改善効果における胆汁酸の果たす役割を検証する方法として、腸管内胆汁酸、メタボライツ、腸内細菌叢などの腸管内環境の変化から視点を変えて検証することも検討している。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策として以下を考えている。 ・DJBの術式で腸管の切除・吻合部胃を調整した新しいモデルの作成 ・腸管内胆汁酸、メタボライツ、腸内細菌叢などの腸管内環境の変化の検証 メタボライツや腸内細菌叢などの検証については、教室単独での実施は困難であるため、これまで協力体制にある、学内の研究者と協調して進めたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナ感染症拡大に伴う業務制限があり、計画通りの研究を遂行することができなかったため。 次年度使用額は、実験動物およびその飼料の購入、血液サンプルや腸管内容サンプルの解析費用などに充てる予定です。
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