研究課題/領域番号 |
20K09101
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
清水 明 信州大学, 学術研究院医学系(医学部附属病院), 准教授 (00447773)
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研究分担者 |
副島 雄二 信州大学, 学術研究院医学系, 教授 (30325526)
安川 紘矢 信州大学, 医学部, 特任助教 (30868071)
野竹 剛 信州大学, 学術研究院医学系(医学部附属病院), 助教 (40645511)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 腸内細菌叢 / メタゲノム解析 / 肝再生 / 胆汁鬱滞 |
研究実績の概要 |
閉塞性黄疸に伴う胆汁鬱滞など、腸肝循環に劇的な変化をもたらす病態では、腸内細菌叢にもバランスの乱れが起こり、肝再生能力も障害されている可能性が極めて高いと考えられるが、その機序は不明である。またこれまで腸内細菌叢メタゲノム解析と肝再生の関係につき明らかにした研究はなく、さらに胆道ドレナージや胆汁還元、さらにはシンバイオティクスといった腸肝循環や腸内環境に大きな影響をもたらす治療が腸内細菌叢にいかなる変化を与えるのかも全く知られていない。そこで、閉塞性黄疸では腸内細菌叢の乱れが生じ,肝再生が阻害されるのではないか、また腸内細菌移植・シンバイオティクスなどの腸内環境回復治療により肝再生能力が改善するのではないか、という作業仮説をたて、令和2年から3年度において以下の実験系を行った。 【実験1-A】胆汁鬱滞ラットモデルの作成:F344/NSlcラット雄8週齢をもちいて、総胆管結紮による胆汁鬱滞モデルを作製した。術後2週間において血清を採取し総ビリルビン値を確認、閉塞性黄疸となっていることを確認した。また、胆汁鬱滞モデルの血清Alb値、AST, ALT値の推移も各time pointで確認した。 【実験1-B】胆汁鬱滞ラットモデル、コントロールモデルに対して肝切除を付加し、残肝容積増大を確認、比較検討し、データ集積のための適正な肝切除時期ならびに検体採取時期の設定を行った。 【実験2】胆汁鬱滞ラットモデルにおける糞便中腸内細菌DNA検出と16SrRNA遺伝子増幅:作製した胆汁鬱滞ラットモデルから採取した糞便より腸内細菌DNAを抽出し、DNA中に含まれる真正最近由来16SrRNA遺伝子をPCR法により増幅し、微生物群集構造解析用のサンプルを作製した。 【実験3】胆汁鬱滞ラットモデルにおけるメタボローム解析:作製した胆汁鬱滞ラットモデルから、網羅的メタボローム解析を行うための肝組織、ならびに十二指腸および空腸組織サンプルを採取保存した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染拡大に伴い、令和2年度当初における実験施設使用不可能期間があったため、その後予定していた令和4年度研究計画より進捗状況は遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
胆汁鬱滞ラットモデル、ならびに胆汁鬱滞ラット肝切除付加モデルおよびコントロール肝切除付加モデルからの糞便サンプル収集ならびにDNA抽出と微生物群集構造解析用のサンプルを作製を継続し必要数を確保。全てのサンプル収集が終わった後に微生物群集構造解析ならびに主要構成菌群定量を行う。 また並行して胆汁鬱滞ラットモデルに対する腸内細菌叢移植ならびにシンバイオティクスによる肝再生促進効果の検証を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究計画の遅延ならびに作製モデルの有効活用と微生物群集構造解析ならびに細菌叢主要構成菌群解析の効率性などを考慮した結果、令和3-4年度に行う予定であった細菌叢解析全般を令和4-5年度に行うこととしたため、令和4年度は当初予定していた必要額を下回る金額となった。しかし、令和5年度においては、令和4年度より繰り越された実験系を行う必要があり、次年度使用額が研究の完遂には必要であるため上記のごとく計上した。
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