研究課題/領域番号 |
20K09102
|
研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
近藤 哲 三重大学, 医学部附属病院, 医員 (60763737)
|
研究分担者 |
問山 裕二 三重大学, 医学系研究科, 教授 (00422824)
大北 喜基 三重大学, 医学部附属病院, 講師 (20378342)
奥川 喜永 三重大学, 医学部附属病院, 講師 (30555545)
北嶋 貴仁 三重大学, 医学部附属病院, 助教 (30586772)
楠 正人 三重大学, 医学系研究科, 寄附講座大学教員 (50192026)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 大腸癌 / 潰瘍性大腸炎 / メチル化 |
研究実績の概要 |
UC-CRC発癌(Dysplasia-Carcinoma Sequence)とS-CRC発癌(Adenoma-Carcinoma Sequence)はこれまでの研究により、発癌過程におけるゲノム異常発症時期の違いが報告されており、エピゲノム異常であるDNAメチル化も同様の変化を起こる可能性が考慮される。また先行研究において直腸粘膜が潰瘍性大腸炎長期罹患に伴う炎症蓄積・発癌リスクを反映することから、直腸粘膜と腫瘍のメチル化程度の差を評価することにより、S-CRCとUC-CRCを鑑別可能となることを明らかにした(下図:NEJM under-review)。以上の背景から、今回、潰瘍性大腸炎や孤発性大腸癌症例における癌組織と直腸粘膜におけるDNAメチル化そのものや、その差を利用することにより、UC-CRCとS-CRCを鑑別可能とするDNAメチル化マーカーの開発をすることはこれまでにない新しいアプローチとなる。またそれが便中、血清に反映されることが確認できれば診断困難な潰瘍性大腸炎癌化患者を非侵襲的検査法で同定できることが期待され、これによりUCに合併したS-CRCに対する無用な大腸全摘術を回避し、患者の腫瘍学的予後のみならず術後QOLを担保することが可能となる。本年度は、UC-CRC組織(5例)とUC-CRC健常直腸粘膜(5例)、S-CRC組織(5例) vs S-CRC健常直腸粘膜(5例) の手術検体を用いてRNAとDNAの抽出を行い、網羅的解析を施行した。また多数検体を用いたvalidationを行うために、潰瘍性大腸炎症例、孤発性大腸癌症例の組織検体よりDNAとRNA抽出を継続しており、今後は網羅的解析で同定した候補の検索を行う予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍の影響により研究がストップする時期があったため
|
今後の研究の推進方策 |
昨年度に同定した候補を、多数検体を用いたvalidationを行い、その臨床的意義を明らかにしていく予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍の影響で研究がストップする時期があったため、全体的な実験計画としては遅れが生じた。次年度として、UC-CRC組織、UC-CRC健常直腸粘膜、S-CRC組織、S-CRC健常直腸粘膜で多数検体でのDNA、RNAの抽出を継続するため抽出行程での実験費、ターゲット分子の定量発現における実験費が生じる予定である。
|