食道癌に対する化学放射線療法の感受性の向上を標的とした革新的治療法の開発

2022 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 20K09105
• 研究機関: 独立行政法人国立病院機構(九州がんセンター臨床研究センター)
• 研究代表者: 中島 雄一郎 独立行政法人国立病院機構(九州がんセンター臨床研究センター), その他部局等, 医師 (40733564)
• 研究分担者: 安藤 幸滋 九州大学, 大学病院, 助教 (20608864) ; 沖 英次 九州大学, 大学病院, 講師 (70380392)
• 研究期間 (年度): 2020-04-01 – 2023-03-31
• キーワード: DNA2本鎖切断 / 相同組換え修復 / Rad51 / 化学放射線療法感受性

研究実績の概要

白金製剤を用いた化学療法および化学放射線療法は切除不能進行・再発食道癌の治療において標準治療のひとつであるが、完全奏効割合15%、2年生存割合32%と未だ満足できる成績ではない。白金製剤や放射線治療はがん細胞のDNA2本鎖切断によりアポトーシスを誘導して殺細胞性効果を発揮するが、Rad51はDNA損傷断端の1本鎖に結合して姉妹染色体の相同部位へ誘導することでDNA2本鎖切断を修復し（相互組換え修復）、化学放射線療法への抵抗性獲得に貢献している。本研究では食道扁平上皮癌の化学放射線療法感受性に関わる相互組換え修復機構に影響を及ぼすE2F1-Rad51経路の意義を明らかにし、これを標的とした新しい分
子標的治療との併用による、化学放射線療法感受性の向上を目的とした画期的な新規治療法の開発を目指す。
【研究成果】
1）食道癌細胞株におけるsiRNAによるRad51発現の抑制によりシスプラチンへの感受性が改善することが確認できた。2）食道癌細胞株におけるsiRNAによるRad51発現の抑制により放射線への感受性が改善することが確認できた。3）Rad51のプロモーター領域に結合する因子としてE2F1に着目し、調整因子であるCDK4/6阻害薬のPalbociclibを細胞株に投与することで、RAD51蛋白発現が低下することを確認した。4）Rad51高発現株でPalbociclibを投与することでシスプラチンへの感受性が向上することを確認した。

研究成果

• [雑誌論文] Nonocclusive Mesenteric Ischemia after Introduction of Chemotherapy for Esophageal Cancer: Report of Two Cases and Review of the Literature (2022)
  • 著者名/発表者名: Shin Y, Nakashima Y, Yamamoto M ,Shiokawa K, Fujimoto Y,Nakanoko T,Uehara H, Sugiyama M,Ota M,Onishi E, Matumoto Y,Shimagaki T,Mano Y,Sugimachi K,Morita M, Toh Y,
  • 雑誌名: Ann Case Rep, an open access journal 巻: 6 ページ: 699
  • 査読あり / オープンアクセス
• [雑誌論文] Nationwide survey of the follow-up practices for patients with esophageal carcinoma after radical treatment: historical changes and future perspectives in Japan. (2022)
  • 著者名/発表者名: Nakanoko K, Morita M, Nakashima Y, Ota M, Ikebe M, Yamamoto M, Booka E, Takeuchi H, Kitagawa Y, Matsubara H, Doki Y, Toh Y.
  • 雑誌名: Esophagus. 巻: 1 ページ: 69-76
  • DOI: 10.1007/s10388-021-00869-3
  • 査読あり
• [雑誌論文] RAD51 Expression as a Biomarker to Predict Efficacy of Preoperative Therapy and Survival for Esophageal Squamous Cell Carcinoma (2022)
  • 著者名/発表者名: Saeki H,Jogo T,Kawazoe T,Kamori T,Nakaji Y,Zaitsu Y,Fujiwara M,Baba Y,NakamuraT,IwataN,Egashira A,Nakanoko T,Morita M,Tanaka Y,Kimura Y,Shibata T,Nakashima Y,Emi Y,Makiyama A,Oki E,Tokunaga S,Shimokawa M,Mori M,KSCC
  • 雑誌名: Annals of Surgery 巻: 275 ページ: 692～699
  • DOI: 10.1097/SLA.0000000000003975
  • 査読あり
• [雑誌論文] Clinical outcomes of surgical resection for recurrent lesion after curative esophagectomy for esophageal squamous cell carcinoma: a nationwide, large-scale retrospective study (2022)
  • 著者名/発表者名: Kudou K, Saeki H, Nakashima Y, Kimura Y, Oki E, Mori M, Shimokawa M, Kakeji Y, Toh Y, Doki Y, Matsubara H.
  • 雑誌名: Esophagus 巻: 19 ページ: 57～68
  • DOI: 10.1007/s10388-021-00878-2
  • 査読あり
• [雑誌論文] 術前治療としてイマチニブが著効し、根治手術が施行できた巨大食道GIST症 (2022)
  • 著者名/発表者名: 塩川桂一、山本学、中ノ子智徳、中島雄一郎、進勇輝、藤本禎明、上原英雄、杉山雅彦、 森田勝、藤也 寸志
  • 雑誌名: 臨床と研究 巻: 99 ページ: 506-510
  • 査読あり
• [学会発表] フレイル食道癌症例に対する高齢者総合機能評価を用いた治療方針の決定と対策 (2022)
  • 著者名/発表者名: 中島雄一郎、西嶋智洋、進勇輝、塩川桂一、藤本禎明、上原英雄、杉山雅彦、山本学、 森田勝、藤也寸志
  • 学会等名: 第77回日本消化器外科学会総会
• [学会発表] 75歳以上のcStageⅡ/Ⅲ食道癌に対する術前治療導入例の治療成績 (2022)
  • 著者名/発表者名: 中島雄一郎、西嶋智洋、塩川桂一、進勇輝、藤本禎明、上原英雄、杉山雅彦、山本学、 森田勝、藤也寸志
  • 学会等名: 第76回日本食道学会学術集会
• [学会発表] EORTC QLO C-30とOES18の治療方針決定ツールとしての意義 (2022)
  • 著者名/発表者名: 中島雄一郎、永井太一朗、塩川桂一、進勇輝、岩永彩子、藤本禎明、財津瑛子、杉山雅彦、山本学、森田勝、藤也寸志
  • 学会等名: 第75回日本胸部外科学会定期学術集会
• [学会発表] cStageⅡ以上の高齢食道癌症例に対する術前治療導入の意義 (2022)
  • 著者名/発表者名: 中島雄一郎、西嶋智洋、塩川桂一、進勇輝、藤本禎明、上原英雄、杉山雅彦、山本学、 森田勝、藤也寸志
  • 学会等名: 第30回日本消化器関連学会週間JDDW2022
• [学会発表] 安全性に配慮した高齢食道癌症例に対する治療戦略 (2022)
  • 著者名/発表者名: 中島雄一郎、西嶋智洋、塩川桂一、進勇輝、岩永彩子、山本学、森田勝、藤也寸志
  • 学会等名: 第73回日本気管食道科学会総会