研究課題/領域番号 |
20K09126
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
藤井 泰宏 岡山大学, 大学病院, 客員研究員 (40534673)
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研究分担者 |
中谷 達行 岡山理科大学, フロンティア理工学研究所, 教授 (50520920)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | Diamon-like carbon / カルボキシル基 / 親水性 / 人工血管 / ePTFE / 蛋白吸着 / 血小板付着 / 血液適合性 |
研究実績の概要 |
今年度は、Diamond-like-carbon (DLC)コーティング時に、酸素ガスを混入させて、カルボキシル基付加DLCを作成し、その成膜条件設定を行った。ePTFEにコーティングする際に、酸素プラズマによると思われる、エッヂングでePTFE線維が破壊される事象があり、条件を変えつつ、繊維構造を破壊しない成膜条件を模索し、設定した。もっともカルボキシル基を多く付加できる、条件を見出し、その条件を確定した。カルボキシル基の付加は、ePTFE繊維の表面のゼータ電位をマイナスにシフトさせていることを確認している。また、SEMにより、ePTFE繊維は、通常のDLC同様に平滑化していることを確認している。原子力顕微鏡で平滑性の定量化を試みたが、多孔性物質表面であるため、原子力顕微鏡での定量化は困難であった。また、同時にプロトタイプのカルボキシル基付加DLCは、親水性を明らかに向上している事を証明した。ePTFEは基本強い疎水性であり、水に完全に浮いてしまうが、酸素付加DLCは水が染みこみ、水に浸かってしまう程に親水性が変化していることを確認した。同時にタンパク吸着試験、血小板付着試験のPreliminary Studyを施行した。現在のところ、酸素付加DLCはアルブミン吸着を増やし、血小板付着を減らすが、フィブリノーゲン吸着が若干増えるという結果を得ている。全血付着試験も現在計画中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
計画通り、酸素付加DLCをePTFE人工血管に成膜できるようになったが、その過程で、酸素付加すると、ePTFE基質が一部融合してしまうことがあきらかになった。おそらく限局性の高熱が原因と思われ、成膜条件の調整に時間を有した。現在、蛋白吸着試験、血小板付着試験、全血付着試験を進行中である。これら物性試験は本年度で終了予定であったので、やや進捗は遅れているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
蛋白吸着試験、血小板付着試験、全血付着試験を急ぎ、動物への植え込み試験に移行する予定である。遅れはさほど特別なことをせずとも。取り返せるものと考えている。
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