本研究は肺動脈狭窄・低形成を合併する先天性心疾患の患者に対し、生体組織工学の技術を用いて患者自己の体内で作成した自己結合組織膜を血管壁素材として肺動脈形成術を段階的に行い、最終手術を目指すとともに、形成部位の開存性や発育可能性、安全性などを明らかにすることを目的としている。 実施計画に基づいて対象患者を選定し、当該期間中に自己結合組織膜(in vivo Tissue Engineered Vascular Graft)作成用鋳型であるシリコン基材の埋め込み術を1例(40mm長2本)、摘出術を1例行った。摘出した症例において自己結合組織は鋳型周囲に形成され、その性状は良好であった。 鋳型の体内埋め込み期間中の有害事象は認めていない。またこれまで自己結合組織膜を用いて肺動脈形成を行なった症例に拡大部位の合併症や問題は現在までのところ認めていない。
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