研究課題/領域番号 |
20K09136
|
研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
佐々木 孝 日本医科大学, 医学部, 准教授 (80350065)
|
研究分担者 |
宮城 泰雄 日本医科大学, 医学部, 准教授 (00350116)
深澤 隆治 日本医科大学, 医学部, 非常勤講師 (80277566)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | 薬剤性心筋障害 / 肺動脈絞扼術 / 心室圧容積関係 / 収縮能 / 拡張能 |
研究実績の概要 |
本研究では4週齢ラットに2週間でアドリアマイシンを投与し、肺動脈絞扼術を行う群とコントロール群で比較検討するという計画であり、今年度はそのタイムフレームで下記3つの研究を行った。 ①ラット薬剤性心筋障害モデルの心機能評価:4週齢のSprague-Dawleyラット12頭のうち、6頭にアドリアマイシン15㎎/kgを2週間で腹腔内投与し(2.5㎎/kg×6回)(A群)、コントロールとして6頭に生理食塩水を投与した(C群)。投与終了時、2週後、4週後に心臓超音波を施行し、4週後に左心カテーテル検査で心室圧容積関係を求めた。2群間で心機能を比較した。A群はC群と比べ、心拍出量が少なく、左室駆出率が低かったが、左室拡張能に差は認めなかった。 ②正常心ラットへの肺動脈絞扼術施行後の心機能評価:4週齢のSprague-Dawleyラット12頭に2週間生理食塩水を投与し、6週齢で肺動脈絞扼術を施行した。肺動脈絞扼術は左第4肋間開胸でアプローチし、絞扼部の断面積が18G注射針と同じになるよう調整した外科クリップを用い、肺動脈幹を絞扼した。術後4週で心臓超音波、心臓カテーテルを施行した。対照として①研究のC群を用い、2群比較した。肺動脈絞扼施行群ではC群と比し、心拍出量、1回心拍出量は減少した。平均血圧、脈拍数、左室駆出率は変わりないが、拡張能を示すTauは上昇し、拡張能の悪化を示唆する所見を得た。 ③ラット薬剤性心筋障害モデルへの肺動脈絞扼術後の心機能評価:4週齢のSprague-Dawleyラット12頭にアドリアマイシン15㎎/kgを2週間で腹腔内投与し(2.5㎎/kg×6回)、投与終了後6週齢で肺動脈絞扼術を施行した。心不全の影響か耐術不能例があり、8週齢、10週齢と肺動脈絞扼術のタイミングを調整していった結果、10週齢で耐術可能な動物があり、今後心臓カテーテル検査を進めていく予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
前年度は研究実績の概要で述べた3つの研究を施行することができた。本研究の目的は③の薬剤性心筋障害への肺動脈絞扼術の効果を検討することであるが、アドリアマイシン投与による心不全の影響で、当初のタイムフレームでは耐術できない動物が多く、手術のタイミングを4週遅らせたところ耐術可能な動物が出てきた。現時点で術後の心臓カテーテル検査に進めた動物は2頭のみである。今後は③研究を再度行い、サンプル数を増やしたうえで評価を行う予定である。
|
今後の研究の推進方策 |
研究実績の概要で述べた③研究を行う。4週齢ラットに2週間でアドリアマイシン投与を行い、さらに4週待機し10週齢で肺動脈絞扼術を行う。術後4週で心臓カテーテル検査を行いsacrificeし、心臓病理を評価する。 また①、②研究での心臓病理評価も終了しておらず、並行してこれらの病理評価を行う。
|
次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じたのは、研究が遅延しており、必要な動物、薬剤の購入、解析に必要な経費を使用しなかったためである。 ただしラット薬剤性心筋障害モデルの作製や、ラットへの肺動脈絞扼術の手技は既に獲得しており、薬剤性心筋モデルへの肺動脈絞扼術施行例のサンプル数を増やすことで研究を最後まで進められる状況になっている。翌年度に研究遂行の必要経費として使用する予定である。
|