研究課題/領域番号 |
20K09142
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
笠島 里美 金沢大学, 保健学系, 教授 (20444200)
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研究分担者 |
池田 博子 金沢大学, 附属病院, 准教授 (10447675)
川島 篤弘 独立行政法人国立病院機構(金沢医療センター臨床研究部), その他部局等, その他 (20242563)
松本 康 独立行政法人国立病院機構(金沢医療センター臨床研究部), その他部局等, その他 (20262579)
尾崎 聡 金沢大学, 保健学系, 助教 (40401921)
笠島 史成 独立行政法人国立病院機構(金沢医療センター臨床研究部), その他部局等, その他 (90303304)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | IgG4関連血管病変 / 自然免疫 / 血管発生 |
研究実績の概要 |
<本研究の目的と意義> IgG4関連血管病変(IgG4-related vascular disease;IgG4-VD)は,動脈瘤や動脈周囲炎を呈する炎症性動脈病変の新しい疾患概念である.好発部位は腹部大動脈であり,血清IgG4高値と動脈外膜を中心としたIgG4陽性細胞浸潤を特徴とする.近年,申請者はIgG4-VDの血管外膜に存在するM2組織球と樹状細胞が,病態の進行に寄与する事を明らかにした.一方,Toll-like receptors(TLRs)は,M2組織球や樹状細胞等の多種類の免疫細胞の分化や活性化に関連し,発生疾患により各種TLRsの動態が異なる事が知られている.また,発生学的に,動脈部位によって各種TLRsの分布に差異があるという報告がある.本研究では,健常動脈及びIgG4-VDの標的血管における各種TLRsの分布と,それらを発現する細胞種類の異動を比較検討する事により,IgG4-VDの病態が免疫異常が引き起こす‘血管炎’である事を明らかにする.本研究の結果は,免疫疾患としてのIgG4-VDの新たな治療戦略に繋がると期待できる. <2020年度の成果> (1)健常血管各部分の検討について,解剖検体を用いて,頚部動脈,上腕動脈,冠動脈,胸部大動脈(上行,弓部,下行),腹部大動脈(腎動脈分岐部上,下),腸骨動脈,腎動脈の健常動脈壁のホルマリン固定パラフィンブロックの組織検体を作製し,TLRsの免疫染色を行い,画像解析を用いてTLRsの発現量や局在,分布を検討した. (2)IgG4-VD,動脈硬化性腹部大動脈瘤,高安病,巨細胞性動脈炎といった対象疾患の切除血管に対しても(1)と同様にTLRsの発現量や局在,分布を検討した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2020年度の目標は,健常動脈および対象疾患の外膜におけるTLRsの分布の組織学的解析であった.以下のように概ね予定通り進行している. (1)健常血管各部分の検討について,解剖検体を用いて,頚部動脈,上腕動脈,冠動脈,胸部大動脈(上行,弓部,下行),腹部大動脈(腎動脈分岐部上,下),腸骨動脈,腎動脈の健常動脈壁のホルマリン固定パラフィンブロックの組織検体を作製し,TLRsの免疫染色を行い,画像解析を用いてTLRsの発現量や局在,分布を検討した. (2)IgG4-VD,動脈硬化性腹部大動脈瘤,高安病,巨細胞性動脈炎といった対象疾患の切除血管に対しても(1)と同様にTLRsの発現量や局在,分布を検討した.
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今後の研究の推進方策 |
2021年度の目標予定は以下の2点であり,2022年度はそれまでの結果解析を主に行う. (1)健常動脈および対象疾患においてTLRs発現を担う免疫担当細胞を明らかにする. 各TLRの発現細胞の候補として,形態学的に組織球,樹状細胞,リンパ球が挙げられる為, 各TLRマーカーと各発現細胞のマーカーの二重免疫染色を行い,TLRs発現細胞を同定する.更に,TLR毎に血管部位での分布を検討する.In situ hybridizationを用いて,mRNA levelにおいてもTLRs発現を担う免疫担当細胞の確認も行う. (2)健常動脈および対象疾患の生材料を用いて,TLRsの数をフローサイトメトリーで検討する.先ず,リンパ節を用いてTLRsのマーカーについてフローサイトメトリーの条件設定を行い,血管に応用する.
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次年度使用額が生じた理由 |
画像解析施行のために,バーチャルスライド 読み込み用の機器購入を予定していたが,リース購入としても高額であり,本年度使用分では購入できず,次年度使用額に持ち越しとなった. 次年度使用額と令和3年度以降に請求する助成額は,バーチャルスライドの外注委託や画像解析機器購入等に使用する予定である.
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