研究課題/領域番号 |
20K09147
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
武田 崇秀 京都大学, 医学研究科, 特定病院助教 (80614891)
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研究分担者 |
田畑 泰彦 京都大学, ウイルス・再生医科学研究所, 教授 (50211371)
山崎 和裕 京都大学, 医学研究科, 講師 (50464227)
金光 ひでお 京都大学, 医学研究科, 助教 (60810166)
升本 英利 国立研究開発法人理化学研究所, 生命機能科学研究センター, 上級研究員 (70645754)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ドラッグデリバリーシステム / マクロファージ / 心不全 |
研究実績の概要 |
マクロファージのサブタイプ調節により局所炎症反応が調節しうることが知られており、動物心疾患モデルでのM2マクロファージ誘導による治療効果が報告されている。本研究はDDS担体によりM2マクロファージ誘導分子を心臓局所に作用させることで生体内マクロファージのサブタイプを調節し、治療効果および安全性を確認することを目的とする。 1.昨年度までにピオグリタゾン(Pio)によるDDS条件の最適化として、C57BL6マウスの大腿骨骨髄および腹部から採取したマクロファージにPioを含むPLGAナノ粒子を投与し、M2マクロファージの増加とIL-10活性の有意な上昇を確認した。本年度はもう一種類のDDSとしてのゼラチンハイドロゲルの有用性について検討した。Pio含有ゼラチンハイドロゲルにおいて、Pioが理論値通りの用量含包されることを液体クロマトグラフィーにより確認した。 2. 昨年度までに心筋梗塞ラットを用いたDDSの有効性および安全性に関する検討として、心筋梗塞モデルのSDラットへのPioを包含したPLGAナノ粒子を投与し、心臓線維化領域の評価およびマクロファージサブタイプの比率評価を行ったところ、Pioを含むPLGAを投与した群で有意にM2マクロファージの比率が上昇していたが、線維化領域の軽減にはつながっていなかった。これは心筋梗塞モデル作成時の手技的な問題が影響しているためと思われたため、本年度は手技を改善して再度検討を行ったところ、安定した心筋梗塞の導入が達成され、Pio含有PLGAナノ粒子による治療効果および線維化抑制効果を示すことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度はPLGAに加えて、もう一種類のDDSとしてのゼラチンハイドロゲルの有用性について検討し、Pio含有ゼラチンハイドロゲルにおいて、Pioが理論値通りの用量含包されることを液体クロマトグラフィーにより確認することができた。またラット心筋梗塞モデルへのPio含有PLGAナノ粒子投与において、安定して線維化抑制および心機能低下抑制効果を示すことができた。
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今後の研究の推進方策 |
In vitroにおいては、Pio含有ゼラチンハイドロゲルの徐放動態について、経時的評価を含め、さらに検討する。またin vivoにおいては、Pio含有PLGAナノ粒子のラット心筋梗塞モデルにおける治療効果・安全性およびマクロファージサブタイプ調節について検討を重ね、知財化および論文発表を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定以上に効率的に実験結果を得ることができたため、分担研究機関における残額が44792円分生じた。来年度にin vitroでのPio含有ゼラチンハイドロゲル実験をその分追加して行う予定である。
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