研究課題/領域番号 |
20K09148
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
辻 龍典 岡山大学, 大学病院, 助教 (10839004)
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研究分担者 |
大澤 晋 岡山大学, 大学病院, 講師 (20643414)
藤井 泰宏 岡山大学, 大学病院, 客員研究員 (40534673) [辞退]
中谷 達行 岡山理科大学, フロンティア理工学研究所, 教授 (50520920)
逢坂 大樹 岡山大学, 医歯薬学域, 助教 (70839141)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | Diamond-like Carbon / 人工血管 / 対麻痺 / ラット / 血小板機能 / エクソーム |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、様々な基材におけるDLC管腔医療材料の生体適合性評価、特に血小板応答を調べる事である。同時に、我々が長年研究テーマとしてきたHigh mobility group box-1 (HMGB1)と、近年研究が進んでいる血小板からのエクソソーム(exosomes)を介した免疫応答に注目し、DLCの血小板機能への影響解析を試みた。これまでに、ePTFEへのDLC成膜により、ヒト血小板液接触試験による血小板付着が有意に減少することを見出している。血小板活性化因子の評価では、ヒト全血接触後に血漿中に遊離したplatelet factor 4 (PF4)、β-トロンボグロブリン(β-TG)濃度にはDLCによる有意な変化は見られなかった。通常のePTFE、DLC-coated ePTFE、カルボキシル基付加DLCに対して、ヒト全血を利用したSDS-PAGEを施行したところ、カルボキシル基付加DLCは他の2群と比べて、ほぼすべてのヒト全血内タンパクの付着が上昇していた。DLC-coated ePTFEと通常のePTFEでは、タンパク付着のパターンは似ているものの、DLCで軽度上昇、特にAlbとFibrinogen領域のタンパク付着が上昇していた。Ratの腎動脈下腹部大動脈全置換術を施行し、エクソーム解析、HMGB1濃度への影響解析を試みたが、全ラットに両側後肢の対麻痺が出た。置換範囲の脊髄動脈をつぶしてしまうのが原因と思われた(ヒトではほとんど発生しない)。そのため、置換範囲を縮小していったが、対麻痺を避けて安定したデータを得るためにはラットでは1対も脊髄動脈つぶすことができないことが判明した。この場合、置換範囲はわずか8mmほどの長さになってしまうため、人工血管の違いによる差をえることが極めて困難であった。ラット腹部置換の研究計画による比較自体を断念せざるを得なかった。
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