研究課題
マウス心筋梗塞モデルに対する骨髄由来MSC・脂肪由来MSCの治療効果の比較に関して、予備実験として、マウス心筋梗塞モデルの作成と心機能評価を行った。マウス心筋梗塞モデルは作成が難しいため(成功率10-20%)。動物種をラットに変更して実験を継続している(40%~)。ラット前下行枝結紮モデルでの心機能の低下の評価が心エコーおよび、PVループを用いた評価を行った。ラット前下行枝が良好に結紮できたモデルにおいて、PVループは著明に変化しEFが低下していることが確認可能であり再現性がある。ラット心臓前下行枝モデルを用いて、前下行枝領域にMSC (1×106 cells) を投与した。骨髄由来MSC投与群、脂肪由来MSC投与群、PBS投与群およびshamの4群にて比較検討を行った。脂肪由来MSCが想定外に死亡率が高く(死亡率80%)、効果が低い印象があった。当院先行研究との比較検討から考えると、脂肪由来MSCの使用に係る血栓症の可能性がある。骨髄由来MSC・脂肪由来MSCのアポトーシス抑制作用・抗炎症、抗線維化作用の比較に関して、骨髄由来のMSCに関して、抗炎症および抗線維化作用の検討を行った。無血性培地を用いて培養を行った。無血性培地を用いることにより、通常培養および低酸素培養にてTSG-6のmRNA発現が著明に増加することが示された。また、HGFの分泌は、無血性培地では十分とは言えなかったが、低酸素を併用することにより増加することが判明した。モデルに発生した心筋梗塞量は、同一手技においても個体および組織切片によって非常にばらつきが大きい印象である。最大の梗塞面積の比較において、骨髄由来のMSCを投与した群において面積は小さい場合があるが、有意とは言えない状況であり、評価法としての限界があるかもしれない。
3: やや遅れている
モデル作成に依然として苦労している点が大きい。急性実験が成功したラットが継続して生存する因子が不明であり、intention to treatに間葉系幹細胞投与が行いにくい難点がある。
基礎実験を継続して行う。精度の高いラットモデルの作成を継続し、可能な限り均質な心筋梗塞モデルを作成することにより比較検討できるようにする必要がある。
すべて 2021
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