研究課題/領域番号 |
20K09154
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
川人 宏次 自治医科大学, 医学部, 教授 (90281740)
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研究分担者 |
坂元 尚哉 東京都立大学, システムデザイン研究科, 准教授 (20361115)
木村 直行 自治医科大学, 医学部, 教授 (20382898)
中村 匡徳 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20448046)
相澤 啓 自治医科大学, 医学部, 教授 (50398517)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 大動脈二尖弁 / 壁せん断応力 / 血管内皮細胞 / 血管平滑筋細胞 / MMP |
研究実績の概要 |
本年度は剪断応力に対する血管内皮細胞/平滑筋細胞の相互作用が二尖弁大動脈拡大に及ぼす影響を検討するための実験モデルを作成した。 上行大動脈に作用する血流ストレス因子である壁剪断応力の大きさは、生理的な状態では2Paであるのに対し、大動脈二尖弁患者では20Paに達する。我々は、平滑筋細胞を含むコラーゲンゲルに血管内皮細胞を共培養したモデルでの壁剪断応力の影響を検証してきたが、従来の生理的な状態(2Pa)の実験モデルに、高壁剪断応力(20Pa)をかけると、ゲル剛性不足から平滑筋層と血管内皮細胞層が分離してしまい、大動脈二尖弁を想定した高壁剪断応力(20Pa)下での実験は困難であった。これに対し、遠心力で圧縮する独自の技術でコラーゲンゲルの剛性を高めた血管内皮細胞―平滑筋細胞共培養モデル(C6モデル)を開発し、病的高壁剪断応力条件下での血管病態に関連する平滑筋細胞の形質および機能を解析した。収縮型平滑筋細胞のマーカーであるαSMAは生理的壁剪断応力下で上昇する一方で、20Paの病的壁剪断応力下では上昇しなかった。また、MMP(matrix metalloproteinase)とTIMP(tissue inhibitor of MMP)の比率について先行研究を参考に評価し、内皮細胞と平滑筋細胞それぞれを単培養した場合には検出されなかった変化を今回の共培養モデルで証明し、血管内皮細胞/平滑筋細胞の相互作用が保たれていることを証明した。このように大動脈二尖弁で生じる高剪断応力下での血管内皮細胞/平滑筋細胞相互作用を究明するための実感モデルを作成することができた。本研究の成果を、Annals of Biomedical Engineering誌に投稿し、acceptされた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
自治医科大学臨床研究倫理委員会の承認の下、東京都立大学坂元尚哉准教授の研究室および日名古屋工業大学中村教授の研究室と共同で、大動脈二尖弁症例の異常血流が大動脈組織の変性や恒常性変化に及ぼす影響を、臨床データとin vitro実験モデルを使用して多角的に検証する。 2021年度は、新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大により、本研究に関する検体採取及び関連実験も影響を受けた。具体的には、当該研究施設だけでなく、共同研究施設である東京都立大学と名古屋工業大学でも、学生教育業務や実験活動に制限が生じ、研究実験の実施が難しい時期もあったが、全体的な進捗状況としては概ね順調に進展している。 2021年度は、前述のように、血管内皮細動-血管平滑筋細胞を使用した共培養実験において、ヒト大動脈弁狭窄症の疾患環境をシミュレーションした高せん断応力負荷(20Pa)に耐えうる実験モデルを作成した。
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今後の研究の推進方策 |
今後も共同研究機関である東京都立大学と名古屋工業大学と共同で、大動脈二尖弁症例の臨床データと血管内皮細動-血管平滑筋細胞を使用した共培養実験モデルを使用した研究を継続する。2021年度は、新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大により、本研究プロジェクトも影響も受けたが、定期的なオンライン会議を継続し、各分担分野の進捗状況の確認を緊密に行う予定である。 今後は、血行力学ストレスに対する生体反応として、様々な剪断応力負荷の設定を行い、血管内皮細胞および血管平滑筋細胞からのMMP産生や血管平滑筋細胞のphenotype変化を中心に解析する方針である。また、今後は血管内皮細胞と血管平滑筋細胞のsignal transductionやTNFやTGFなど既報告の大動脈中膜組織の恒常性維持に影響を及ぼすサイトカインの影響も併せて解析する予定である。 また、MMP/TIMP関連分子の他、血管平滑筋細胞の収縮/合成型phenotypeのmarker(α-SMA・calponin・SM-1・SMemb・tropomyosin4)やapoptosis関連marker(caspase enzymes・Bax・Bcl-2・annexin V) などの発現も、qRT-PCRやwestern blotting法を用いて計測する予定であ
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次年度使用額が生じた理由 |
2021年分で残金が生じたため、 2022年度への繰り越使用額が発生した。次年度繰り越額が発生した主な理由は、自治医科大学、及び共同研究機関である名古屋工業大学および東京都立大学で、新型コロナウイルス(COVID-19)感染症拡大による研究活動制限期間が設けられためである。また、感染拡大に伴い、オンライン教育システムの構築に多くのeffortが費やされたため、予定されていた実験計画に多少影響が出た。 繰り越金を含め、2022年度支出は、共培養実験費用(Lonza社からヒト大動脈組織細胞:HAEC・HAoSMCの購入費用、共培養モデルの維持費用、同実験モデルの解析実験(Zymography・qRT-PCR・western blottingなど)費用、学会発表・英文論文校正費用などを予定している。
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