研究課題/領域番号 |
20K09155
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研究機関 | 埼玉医科大学 |
研究代表者 |
千本松 孝明 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (70216563)
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研究分担者 |
中嶋 博之 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (40393235) [辞退]
吉武 明弘 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (70327550)
井口 篤志 埼玉医科大学, 医学部, 客員教授 (90222851) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ヒトiPS細胞 / 患者残余検体 / 山中因子 / mRNA / インターフェロン |
研究実績の概要 |
iPS細胞誘導時にゲノム点突然変異や遺伝子コピー変異等が確率的に混入し、iPS細胞としての品質は安定せず、臨床応用とりわけ安全面との間に大きな溝が残されている。加えて患者組織、すなわち治療過程で摘出された病的素因を有した組織(残余検体)もしくは老化が進んだ組織を用いてヒトiPS細胞誘導した場合、極端に誘導効率は低下する。再生医療を必要とする変性疾患患者や高齢者の自家組織から誘導された良質なiPS細胞こそが本来必要とするiPS細胞と考える。このプロジェクトでは、宿主細胞へのダメージが最も少ないと考えられる山中因子mRNAを用いて高効率なヒトiPS細胞の誘導法を確立し、誘導されたヒトiPS細胞の品質を評価していく。 Self-replicative RNA vectorから精製される山中因子mRNAは巨大mRNAである。導入の際宿主細胞は異物混入と認識し、インターフェロンを放出し細胞死が生じる。この問題点に対し、抗インターフェロン剤であるrecombinant B18-Rの培養液中への添加およびB18R mRNA-E3Lを線維芽細胞に遺伝子導入し、培養液中に分泌されたrecombinantB18-Rを用いることで高濃度B18-R環境を構築可能となり、宿主細胞死はほぼ抑制可能となった。この環境下で山中因子mRNA及びhuman Tet-1 mRNAを体細胞に導入することにより安定的にhuman iPS細胞をこれまでのエピソーマルDNAベクター導入法と同様に誘導が可能となった。しかし、体細胞の品質によりそれぞれの方法でも導入効率に差異が生じるため、現在はDNAエピソーマルベクター法及びmRNA法の両方を用いてiPS細胞の誘導を行っている。DNAエピソーマルベクター法は電気穿通法が必要な為、体細胞へのダメージは大きいことが予想される。
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