研究課題/領域番号 |
20K09159
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
新井川 弘道 東北大学, 大学病院, 講師 (80636027)
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研究分担者 |
渡辺 有為 東北大学, 大学病院, 助教 (20724199)
岡田 克典 東北大学, 加齢医学研究所, 教授 (90323104)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 体外肺灌流 / 肺移植 / 肺葉移植 / マージナルドナー肺 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、申請者らがこれまで発表してきた体外肺灌流(EVLP)システムを用いたドナー肺の機能評価法を基に、(1)現在のEVLPで困難な,肺葉レベルでの機能評価法を確立し、(2)移植可能なドナー肺葉の数を大幅に増加させることである。 開発型研究では、選択的胃液注入によるブタ誤嚥性肺炎モデルの確立を行い、引き続き行われる調査型研究に用いる予定である。現在ブタ誤嚥性肺炎モデルのプロトコル確立を目指し開発を継続している。 調査型研究(EVLPによる肺葉機能評価方法の確立)は、令和3年度までに、研究協力を得ている産業技術総合研究所(産総研)内で新規体外肺灌流装置の開発が完了し、2-3時間の安定した体外肺灌流が可能であることが確認された。EVLPによる灌流液の流量、灌流圧、温度調整、呼吸設定が可能であり、実験実施計画にある(1)左心房へ流入する肺静脈それぞれから採取した血液ガス分析による評価、(2)異なる吸入酸素濃度が与える動脈酸素分圧の変化に基づくパラメータ(PaO2/FiO2 difference)による評価、(3)超音波による非侵襲的な肺浮腫の評価、(4)光計測技術を用いた肺浮腫の局所的な評価のいずれも実施可能な状況下にある。 しかしながら、COVID-19感染拡大防止による実験制限、研究協力者の移動制限などに伴い開発型研究に遅延が生じており、これにて作成された障害肺を使用予定であった調査型研究にも同様に遅延が生じている。令和4年度はこれら遅延を取り戻すべく研究実施予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究実施計画として、令和2年度内に開発型研究(選択的胃液注入によるブタ誤嚥性肺炎モデルの確立)を予定していた。しかしながら、COVID-19感染拡大防止による実験の制限に伴い、本課題は延期されていた。令和3年度に制限が緩和されたのち、東北大学における本研究は再開され、ブタを用いて誤嚥性肺炎モデルのプロトコルを確立すべく実験が継続されている。 また、同じく調査型研究として(EVLPによる肺葉機能評価方法の確立)を予定していた。令和2年度内に、研究協力を得ている産業技術総合研究所(産総研)内で新規体外肺灌流装置の開発が完了し、2-3時間の安定した体外肺灌流が可能であることが確認され、EVLPによる灌流液の流量、灌流圧、温度調整、呼吸設定が可能となり、また実験実施計画にある(1)左心房へ流入する肺静脈それぞれから採取した血液ガス分析による評価,(2)異なる吸入酸素濃度が与える動脈酸素分圧の変化に基づくパラメータ(PaO2/FiO2 difference)による評価,(3)超音波による非侵襲的な肺浮腫の評価,が実施可能であることが確認された。また、令和3年内には新規技術である(4)光計測技術を用いた肺浮腫の局所的な評価、において測定・評価制度の向上が図られている。しかしながら、全体的には開発型研究同様、COVID-19感染対策に伴う実験制限によりドナー障害肺を用いた調査型研究の実施に遅延が生じている。今後の状況次第であるが、令和4年度は、概ね実施計画書通りに実験を遂行できるものと思われる。
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今後の研究の推進方策 |
現在継続中である開発型研究(選択的胃液注入によるブタ誤嚥性肺炎モデルの確立)において、より適切な障害肺葉作成のためのプロトコルの確立を目指す。現在東北大学ではCOVID-19感染対策のための実験制限は解除されていることから、令和4年前半までに完了させる予定である。 また、調査型研究:(EVLPによる肺葉機能評価方法の確立)においても、上記開発型研究が完了した暁には、開発が完了した新規EVLP装置を用いて肺葉の評価実験を開始する。ブタ誤嚥性肺炎モデルを用いた実験により、より正確な肺葉機能評価の確立を目指している。
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次年度使用額が生じた理由 |
調査型研究(EVLPによる肺葉機能評価方法の確立)、開発型研究(選択的胃液注入によるブタ誤嚥性肺炎モデルの確立)のうち特に前者はCOVID-19感染拡大防止に伴う実験制限により遅延が生じている。令和2年度に実施予定であった動物実験を令和3年度に繰り越して実施したものの、未だ予定数の実験は完了していない。今後、実験に必要な人工肺、灌流サーキット、灌流液、薬剤などの消耗品、実験用ブタは継続して購入される予定であるため、当該年度に使用できなかった助成金はそのまま、翌年度支出として全額必要となる見込みである。
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