研究課題/領域番号 |
20K09165
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
村上 順一 山口大学, 医学部附属病院, 助教 (10725683)
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研究分担者 |
田中 俊樹 山口大学, 医学部附属病院, 講師 (50457305)
溝口 高弘 山口大学, 医学部附属病院, 診療助教(4日/週) (90844796)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 線維芽細胞シート / 気管支切離断端補強 / 気管支断端瘻 / 再生 / 動物実験 |
研究実績の概要 |
気管支断端瘻は肺切除後の合併症の1つで、発症するとその死亡率は高い。発症の危険因子は同定されているものの、根本的な発症機序の解明には至っていない。危険因子を有する症例に対して血流維持、組織修復の促進を企図し、自己組織による断端被覆が経験的に行われているが、その有効性については賛否両論ある。我々の動物実験から、肺切除後の気管支断端では内腔上皮や壁の再構築は起こらず、壁外の新生線維組織の増生のみで修復されることが示唆された。そこで我々の研究室が独自で開発した積層線維芽細胞シートによる組織修復の促進効果に着目した。簡便かつ非侵襲的に使用可能なバイオマテリアルとして、断端被覆に最適であると発想した。そこで我々は、肺切除後の気管支断端における積層線維芽細胞シートによる組織修復の促進効果を検証し、術後気管支断端瘻に対する、細胞シートを使用した新規術中予防法を確立することを計画した。 独自に開発した積層線維芽細胞シートをラット肺切除モデルの気管支切離断端に自家移植することで、気管支断端が厚い新生組織で覆われ、力学的に補強されることがわかった。積層線維芽細胞シートの気管支断端補強効果が小型動物実験で示唆された。本研究では大型動物を用いて同様の補強効果を、さらに気管支断端瘻モデルを作製し、積層線維芽細胞シートの予防効果を実証することを主な目的とする。また臨床応用に向け、コスト削減、汎用性、患者への負担軽減を目指し、他家細胞シートの移植による気管支断端の組織修復過程を検証することを目指している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
イヌを使用した積層線維芽細胞シートの気管支断端補強効果を検証しているが、実際にイヌの気管支切離断端部に線維芽細胞シートを移植する方法がうまくいっていない。細胞シートは扱いづらく、またきちんと移植できているか確認が困難である。またコロナウイルス感染症蔓延の最中、大人数で行う動物実験の遂行に苦労している。
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今後の研究の推進方策 |
細胞シートをイヌの気管支切離断端にきちんと移植できるように、細胞シートを補強する、または断端部へのデリバリーを目的とした基材の開発を進めている。基材が完成次第、イヌを使用した積層線維芽細胞シートの気管支断端補強効果の検証を再開する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
少額であるが次年度使用額が生じた
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