研究課題/領域番号 |
20K09175
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
大瀧 容一 群馬大学, 医学部附属病院, 助教 (00625402)
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研究分担者 |
矢島 俊樹 群馬大学, 大学院医学系研究科, 准教授 (20346852)
横堀 武彦 群馬大学, 未来先端研究機構, 准教授 (60420098)
川端 麗香 群馬大学, 未来先端研究機構, 講師 (90721928)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | FOXM1 / Chk1 / 小細胞肺癌 / ATR |
研究実績の概要 |
化学療法に耐性を持った肺癌細胞株におけるFOXM1阻害に関して検討を行ったところ、予想通り、耐性株ではFOXM1発現が上昇しているという結果であった。このことから、FOXM1が薬剤耐性に寄与している可能性が考えられた。さらにここにshRNAを用いてFOXM1発現の抑制を行うと殺細胞性抗癌剤の感受性が改善していることがわかった。以上よりFOXM1抑制による抗癌剤の効果改善が示された。 また、これまでのデータから神経内分泌腫瘍である小細胞癌(SCLC)ではNSCLCに比較しさらにFOXM1の発現が高いことが示されていることに着目した。近年になってSCLCはASCL1, NeuroD1, POU2F3, YAP1の4つのサブタイプに分類されることが明らかとなっており、このサブタイプ別の個別化治療の概念が提唱されるようになったことから、今回は肺癌の中でも小細胞肺癌をターゲットとすることとした。 SCLC細胞株においてまずこれら4つの転写因子の発現を確認し、それぞれの因子とFOXM1の発現、また関連因子について発現の関連を明らかにした。この結果、FOXM1は、非ASCL1 typeのNeuroD1 typeでの高発現が認められた。現在、実際の組織での発現を確認するため、SCLC切除検体と神経内分泌腫瘍であるLCNECの切除検体を約100例集積し、評価を行っている。 さらに、SCLCにおいて新規治療法としてATRやChk1の阻害剤が有効という報告があり、DNA damage repairにおいてFOXM1とChk1は関連があるという報告があることからATRやChK1の阻害とFOXM1の阻害を併用することで効果が増感することを予測し、その併用効果をタンパク発現レベルと実際の細胞増殖効果を観察している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
PTX耐性の細胞株においてshRNA株を用いてFOXM1の阻害を併用するとPTXの抗腫瘍効果が改善することを示すことができた。 概要に記載したとおり、これまでのデータからSCLCではNSCLCに比較しさらにFOXM1の発現が高いことが示されているため、特に肺癌の中でも小細胞肺癌(SCLC)をターゲットとして検討をおこなった。SCLCでは、近年ASCL1, NeuroD1, POU2F3, YAP1の4つのサブタイプが含蓄されることが明らかとなっており、SCLC細胞株においてまずこれら4つの転写因子の発現を確認し、それぞれの因子とFOXM1の発現、また関連因子について発現の関連を明らかにした。細胞株のデータに基づいて、SCLC切除検体と神経内分泌腫瘍であるLCNECの切除検体を当院および関連施設から約100例集積し、IHCでの抗体の条件検討を終了し、今後発現の比較解析を行う予定である。 また、SCLCにおいて新規治療法としてATRやChk1の阻害剤が有効という報告があり、DNA damage repairにおいてFOXM1とChk1は関連があるという報告があることからATRやChK1の阻害とFOXM1の阻害を併用することで効果が増感することを予測し、その併用効果をタンパク発現レベルと実際の細胞増殖効果を観察している。現在までSCLC株においてATRやChk1単独での発現抑制効果を確認した。
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今後の研究の推進方策 |
・SCLC, LCNEC切除検体でのサブタイプとFOXM1発現の相関を解析する ・ATR阻害剤、ChK1阻害剤とFOXM1阻害剤の併用による関連タンパク発現の変化およびSCLC抑制効果の観察を行い、次世代シーケンサーでの網羅的解析を行う
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度はNGS解析やマウスを用いた高額な実験を行わなかったため、次年度に持ち越して解析を行うこととした。
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