研究課題
チロシン脱リン酸化酵素:protein tyrosine phosphatase H1 (PTPH1)分子が肺NETに対する1) 診断補助因子、2) 予後予測因子、および3) 治療標的分子となり得るかを検証することが本研究の主目的である。昨年度までに、、PTPH1分子は肺NETにおいて増殖、遊走、浸潤、腫瘍形成に関与しており、新規治療標的となり得ることを見出している。本年度は、本来チロシンキナーゼを脱リン酸化する酵素であるPTPN3が、どのようにしてチロシンキナーゼリン酸化を引き起こしているのか、そのメカニズム解析を行った。肺NETのPTPN3抑制細胞、非抑制細胞の2群でマイクアレイ解析を行い、関与しそうな遺伝子をpick upしていったところ、CACNA1Gという遺伝子が見出された。CACNA1Gはカルシウムチャネルに関与しており、CACNA1Gの活性化によりチロシンキナーゼリン酸化が生じることは既に報告されている。本研究で肺NETにおいてPTPN3を抑制すると、CACNA1G発現が抑制しチロシンキナーゼリン酸化が抑制されることが分かった。即ち、肺NETにおいてはPTPN3-CACNA1G-チロシンキナーゼリン酸化、という経路が存在しており、この経路が新たな癌悪性形質誘導経路として寄与している可能性を見出した。さらに、この経路は、他の癌腫では活性化しておらず、肺NETに特異的である可能性も見出した。今後の研究で、この新たに見出されたPTPN3-CACNA1G-チロシンキナーゼリン酸化経路の質的解析を行い、新たな肺NET治療や肺NETの病態解析を行いたいと考えている。
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