研究課題/領域番号 |
20K09184
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研究機関 | 関西医科大学 |
研究代表者 |
齊藤 朋人 関西医科大学, 医学部, 講師 (10548605)
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研究分担者 |
蔦 幸治 関西医科大学, 医学部, 教授 (00392332)
石田 光明 関西医科大学, 医学部, 講師 (00464173)
林 美樹夫 関西医科大学, 医学部, 講師 (10368251)
赤間 智也 関西医科大学, 医学部, 准教授 (10548788)
村川 知弘 関西医科大学, 医学部, 教授 (50359626)
谷口 洋平 関西医科大学, 医学部, 講師 (50609592)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | MECA-79 / 肺腺癌 / 病期 IA / 再発 / 立体的病理 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、肺癌 invasive frontにおける①腫瘍先進部と主病巣の空間的連続性の解明、②HEV(High Endothelial Venule)の解剖学的局在・立体構築の解明、および③HEV形成阻害機構の解明である。 ②③に関し、2009年~2015年に関西医科大学附属病院で肺葉切除にて完全切除を達成した病理病期IAの肺腺癌100例を対象に、腫瘍細胞における腫瘍細胞および腫瘍間質を免疫染色により網羅的解析を行った。この結果、肺癌においてMECA-79(HEVに対する特異抗体)に染色される腫瘍細胞(MECA-79陽性細胞)を認める(6例)ことを発見し、術後再発の予測因子および術後無再発生存の危険因子となりうることを確認した。HEVは、MECA-79陽性腫瘍細胞発生に関与する可能性が示唆された。すなわち腫瘍細胞におけるMECA-79発現がバイオマーカーになりうる可能性が確認された。さらに腫瘍細胞の肺胞腔内進展の先進部(invasive frontのひとつ)でもMECA-79陽性細胞が認められ、空間的連続性が示唆された。これらの成果は2022年5月16日の第102回米国胸部外科学会において口演発表予定であり、同学会に論文投稿中である。 2022年度は、HEVとともにMECA-79腫瘍細胞を標的に、①それらのinvasive frontにおける空間的連続性のさらなる解明、②局在、③MECA-79を標的とする治療法の可能性の探索を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍の影響で物品入手や研究時間の確保に支障をきたした。3次元病理解析のPCがしばしば不具合をきたしたことも影響している。 いっぽう、HEVおよびMECA-79陽性腫瘍細胞に対する治療の妥当性を支持する所見が得られ、当初の研究目的の一つであるバイオマーカー同定に関し予想以上の進展があった。 総じて当初の2021年度の研究計画よりやや遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
①今後は3次元構造解析のために臓器透明化技術を代用することも検討している。 ②HEV、MECA-79陽性細胞の局在、invasive frontにおける分布を検討する。 ③MECA-79を標的とした治療の可能性を検証する。 ④HEV関連遺伝子、MECA-79抗原(=糖鎖抗原)関連遺伝子の発現状況を網羅的に解析し、それらの発生機構を検討する
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次年度使用額が生じた理由 |
研究計画に比し実施状況が遅れたことにより、支出額が当初予定の97.7%となった。 このため、2022年度に繰り越し、価格の上昇が予想される消耗品費等に充てる予定である。
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