研究課題/領域番号 |
20K09184
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研究機関 | 関西医科大学 |
研究代表者 |
齊藤 朋人 関西医科大学, 医学部, 講師 (10548605)
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研究分担者 |
蔦 幸治 関西医科大学, 医学部, 教授 (00392332)
石田 光明 関西医科大学, 医学部, 講師 (00464173)
林 美樹夫 関西医科大学, 医学部, 講師 (10368251)
赤間 智也 関西医科大学, 医学部, 准教授 (10548788)
村川 知弘 関西医科大学, 医学部, 教授 (50359626)
谷口 洋平 関西医科大学, 医学部, 講師 (50609592)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 肺腺癌 / HEVs / CAFs / TLSs / 再発 / invasive front |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、肺癌 invasive frontにおける①腫瘍先進部と主病巣の空間的連続性の解明、②HEVの解剖学的局在・立体構築の解明、および③HEV形成阻害機構の解明である。 これまでの実験で脈管侵襲(ly, v)が顕著な微小乳頭型肺腺癌の3次元解析では主病巣とinvasive frontとの連続性が示唆された。Invasive frontにはMECA-79陽性high endothelial venules(HEVs)、α-smooth muscle actin陽性cancer-associated fibroblastsが見られ、これらを詳細に検討したところ再発予測因子である可能性が示唆された。これは、乳がんなどの複数の癌ではHEVsはtertiary lymphoid structures (TLSs)とともに現れ、癌免疫の向上に貢献する予後良好因子であるとする既報論文と反対の結果であった。しかしマウス肺腺癌モデルでは、制御性T細胞が存在するとき、HEVs/TLSsは癌促進性に作用し、制御性T細胞の除去によって、HEVs/TLSsが癌抑制性に作用することが報告されている。このことから、肺腺癌では制御性T細胞を含む何らかの因子が、HEVs/TLSsの癌促進性作用を誘導しており、それらの除去により肺腺癌の再発予防に役立つ可能性が示唆された。 以上、本研究は①腫瘍先進部は腫瘍本体と連続している可能性がある、②invasive frontにHEVsが出現するとき肺癌促進性の微小環境構築が示唆される、③制御性T細胞など未特定の要因がHEVs/TLSsの役割を決めておりこの要因の特定、制御が肺がん再発予防治療につながることが示唆された。 また偶発的な所見として、肺腺癌自体にMECA-79が発現した場合再発率が高く、再発予測マーカーかつ新たな治療標的となる可能性があり、米国胸部外科学会で報告するとともに、特許申請を行った。
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