研究課題
マウス人工多能性幹細胞から中胚葉分化・造血系分化を経由してミエロイド系細胞を誘導した。これにcMYC遺伝子を導入することでサイトカイン依存性に増殖する増殖ミエロイド細胞(iPSC-pMC)を構築した。この細胞はMTT法による評価でGM-CSF依存性に増殖することが分かった。また、この増殖は、M-CSFを添加することで更に促進することが明らかになった。一方、III型インターフェロン(type III IFN)遺伝子と蛍光タンパク(Venus)遺伝子を共発現するレンチウィルスベクターを構築した。これを用いて、iPSC-pMCにtype III IFN遺伝子を導入した。さらに共発現する蛍光タンパクの発現を指標にセルソーターで導入細胞を分離して細胞株を樹立することに成功した。培地にGM-CSFとM-CSFを添加して培養すると3ヶ月以上継続的に増殖し、大量生産が可能であることが明らかになった。この細胞は、GM-CSFの添加がない培地の中でもIII型IFNを産生し、生体内に投与してもIII型IFNを継続的に産生して、効果を発揮する可能性が示唆された。表面マーカーCD11b, CD11c, F4/80, DEC205, CD33を発現して、ミエロイド系細胞の特徴を示すと共に、抗原提示分子(MHC-I,MHC-II)、及び共刺激分子(CD80, CD86)を発現し、抗原提示細胞様のフェノタイプを示し、壊死したがん細胞を取込み、がん抗原をプロセス・抗原提示して二次的な免疫応答を惹起する可能性が示唆された。
2: おおむね順調に進展している
レンチウイルスベクターの構築、遺伝子導入、細胞株の樹立が順調に進められた。
担がんマウスに投与して抗腫瘍効果を検討する。効果が認められない場合には、併用薬剤などの投与を検討する。
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