研究課題
FLT3L遺伝子と蛍光タンパク(Venus)遺伝子を共発現するレンチウィルスベクターを構築した。これを用いて、iPSC-pMCにFLT3L遺伝子を導入した。さらに共発現する蛍光タンパクの発現を指標にセルソーターで導入細胞を分離して細胞株を樹立することに成功した。培地にGM-CSFとM-CSFを添加して培養すると3ヶ月以上継続的に増殖し、大量生産が可能であることが明らかになった。C57BL/6マウスの両脚にOVA発現メラノーマ細胞株(MO4)を移植した。移植4日後、type I IFN産生iPSC-pMC、type III IFN産生iPSC-pMC、および、FLT3L産生iPSC-pMCを単独、あるいは、これらを組み合わせて右脚腫瘍局所に投与して、投与部位および遠隔部位のがんの腫瘍径を経時的に測定した。その結果、投与局所におけるがん抑制効果は、単独でtype I IFN産生iPSC-pMCが最も強く、FLT3L産生iPSC-pMCが最も弱かった。2つの組み合わせでは、大きな差が認められなかったが、3つの組み合わせにより効果が向上した。一方、遠隔部位におけるがん抑制効果は、単独では、type I IFN産生iPSC-pMC とtype III IFN産生iPSC-pMC が強かった。2つの組み合わせでは大きな差を認めなかったが、3つの組み合わせにより効果が向上した。type III IFN産生iPSC-pMCは、type I IFN産生iPSC-pMCとFLT3L産生iPSC-pMCと併用投与することにより、投与部位のみならず遠隔部位のがんを制御することが明らかとなった。
2: おおむね順調に進展している
type III IFN産生iPSC-pMCの有効性を示すことができた。
type III IFNに加えて、type I IFNおよびFLT3Lをがん組織に送達すると効果が向上することが示唆された。type I IFNは、iPSC-pMCにアポトーシスを誘導して、negativeな効果があると考えられる。一方、GM-CSFやM-CSFは、iPSC-pMCの成長因子として作用する。そこで、I型IFN受容体(IFNAR-I)を欠損し、GM-CSF/M-CSFを導入したiPSC-pMCを構築して検討を進めたい。
すべて 2021
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 2件)
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