研究課題/領域番号 |
20K09187
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研究機関 | 愛知県がんセンター(研究所) |
研究代表者 |
高橋 祐介 愛知県がんセンター(研究所), 腫瘍免疫制御TR分野, 主任研究員 (00445214)
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研究分担者 |
松下 博和 愛知県がんセンター(研究所), 腫瘍免疫制御TR分野, 分野長 (80597782)
山口 類 愛知県がんセンター(研究所), システム解析学分野, 分野長 (90380675)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 腫瘍免疫 / 非小細胞肺癌 / 化学療法 / 免疫チェックポイント阻害剤 / ネオ抗原 |
研究実績の概要 |
愛知県が ん セ ン タ ー に お け る 症例集積では 当該研究期間で完全切除を受けた 原発性肺腺癌症例のうちmRNAシーケンスやFACSなどの免疫学的解析を行えた症例112例を解析の対象とした。そのうち導入化学療法を行った症例は8例であった 。 まず、腫瘍浸潤リンパ球をFACSで解析するとCD8陽性T-cellの数が殺細胞性抗がん剤の投与によって増加していることがわかった。中でも腫瘍特異的とされるCD8陽性/CD39陽性/CD103陽性の分画が有意に増加していることが明らかとなり、腫瘍特異的な免疫反応が誘導されている可能性が示唆された。 同様に免疫抑制環境について解析すると、FoxP3、 ICOS、 LAG3、 TIGIT、CTLA4などの免疫抑制性分子の発現が抗がん剤の投与後に低下することがわかり、反対に、fresh tumor digestにおけるinterferon gamma、IL1 beta、CXCL6の数値が抗がん剤の投与によって有意に増加することがわかり、これらのケモカインやサイトカインの発現によって抗腫瘍免疫の働きが惹起されるメカニズムが考えられた。 本研究では当初、化学療法投与とimmunogenic cell deathの解析をするためにcirculatin tumor cellを採取するシステムを用いた解析を計画していたが、COVID-19感染拡大の副次的な事情により困難となったため当初の研究計画の変更を余儀なくされた。血液や腫瘍検体を用いた殺細胞性抗がん剤の投与前後での腫瘍の免疫学的微小環境の解析によって、殺細胞性抗がん剤による免疫学的微小環境への影響、また免疫チェックポイント阻害剤の併用療法がより適した症例の免疫反応などを探るための基礎的知見をえることができたと考えている。今後はneoantigenを絡めた解析を予定している。結果をもとにして論文作成に至る予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画の変更を余儀なくされたが、血液や腫瘍検体を用いた殺細胞性抗がん剤の投与前後での腫瘍の免疫学的微小環境の解析によって、殺細胞性抗がん剤による免疫学的微小環境への影響、また免疫チェックポイント阻害剤の併用療法がより適した症例の免疫反応などを探るための基礎的知見をえることができたため
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今後の研究の推進方策 |
今年度得られた知見をもとに、今後はneoantigenを絡めた解析を予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究計画の変更に併せて使途が変更となったため
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