研究実績の概要 |
【対象】2019年5月から2021年3月において肺癌症例(LC群)53例、炎症性肺疾患症例(LI群)11例、健常者(HC群)10例の唾液・糞便を採取し、16srRNAをPCRにて増幅、NGSにて口腔内及び腸内細菌叢を解析した。口腔内及び腸内細菌叢の多様性、菌種(属レベル)における群間比較を行った。【結果】α多様性:口腔内細菌叢においてHC群と比較してLC群が有意に低かった(Chao1, p=0.004, Simpson, p=0.018, Shannon, p=0.009)。腸内細菌叢では有意な差を認めなかった。β多様性:口腔内細菌叢においてHC群とLC群は明らかに相違な菌種群であった(Bray_curtis, p=0.001, Unweighted_unifrac, p=0.005, Weighted_unifrac, p=0.005)。また腸内細菌叢においてもHC群とLC群は明らかに相違な菌種群であった(Bray_curtis, p=0.005, Unweighted_unifrac, p=0.002, Weighted_unifrac, p=0.002)。菌種:LC群の口腔内細菌叢ではHC群と比較してBacilli class, Streptococcaceae family, Strepotoccus genus, Firmicutes phylum and Lactobacillales orderが有意に多く認められた。また腸内細菌叢において6種類の口腔内関連細菌を認め、LC群にて有意に豊富に認めた(p=0.00182)。 【結論】本研究にて肺癌症例の口腔内細菌叢は多様性が低下しており、また特定の菌種を同定することができた。本研究結果から口腔内細菌叢を利用した肺癌リスク判定や肺癌予防へとつながる可能性が示唆された。
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