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2022 年度 実績報告書

疼痛遷延化に関わる局所炎症反応とリゾリン脂質の役割の解明

研究課題

研究課題/領域番号 20K09190
研究機関東京大学

研究代表者

伊藤 伸子  東京大学, 医学部附属病院, 講師 (80332609)

研究分担者 星野 陽子  東京大学, 医学部附属病院, 助教 (80920503)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード疼痛学 / 脂質 / 神経科学
研究実績の概要

急性組織障害性炎症性疼痛の病態形成に対し、生理活性脂質がどのように関与しているのか解明を継続した。リゾホスファチジン酸(LPA)は①組織障害時にホスホリパーゼA2(PLA2)を初発酵素として産生される生理活性脂質の一つであり、また別経路として②血液中や髄液中の変換酵素Autotaxin (ATX)によってリゾホスファチジルコリン(LPC)より産生される。組織障害早期にLPAがどこで産生され、どの受容体を介し疼痛修飾するのか解明してきた。ホルマリン足底注入による急性疼痛モデルの足底組織中でLPCの上昇が、さらに腰部後根神経節でLPAの上昇が認められた。LPA1/3受容体拮抗薬投与により疼痛反応は有意に抑制された。後根神経節でLPA産生が増加し、後根神経節に存在する衛星細胞のLPA1受容体を介して急性疼痛が修飾されていることが示唆され論文報告した。 LPA1受容体が新たな急性疼痛治療ターゲットとなり得ることが分かった。
LPA1受容体欠損マウスの購入が困難であったことから、PLA2により同様に組織障害早期に産生される生理活性脂質ロイコトリエンB4(LTB4)について、その受容体BLT1欠損マウスを用い当該年度は研究を進めた。組織障害性疼痛モデルとして、足裏切開を行う術後疼痛モデルを作成した。術後疼痛反応はBLT1欠損マウスで有意に減弱していた。足底組織のフローサイトメーターを用いた解析ではBLT1欠損マウスで炎症性単球分画が有意に減少し、IL-1beta, TNFalphaサイトカインについても減少していた。創傷部組織中のLTB4量は切開3時間後の極めて早期をピークとして術後3日目まで増加が観察された。またLTB4の足裏直接投与により機械的刺激による疼痛反応と自発的防御反応が観察され、BLT1受容体を介した炎症性単球浸潤に加えて、LTB4による疼痛修飾の可能性が示唆され論文報告した。LTB4-BLT1シグナル伝達が急性組織障害性疼痛病態形成に強く関与していることが分かった。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Role of leukotriene B4 (LTB4)-LTB4 receptor 1 signaling in post-incisional nociceptive sensitization and local inflammation in mice2022

    • 著者名/発表者名
      Asahara Miho、Ito Nobuko、Hoshino Yoko、Sasaki Takaharu、Yokomizo Takehiko、Nakamura Motonao、Shimizu Takao、Yamada Yoshitsugu
    • 雑誌名

      PLOS ONE

      巻: 17 ページ: 0276135 0276135

    • DOI

      10.1371/journal.pone.0276135

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] ラット神経障害性疼痛におけるスフィンゴシン1リン酸の解析2022

    • 著者名/発表者名
      星野 陽子、ウルナ バーサンジャブ、浅原 美保、内田 寛治、伊藤 伸子
    • 学会等名
      日本疼痛学会

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公開日: 2023-12-25  

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