研究課題/領域番号 |
20K09196
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
谷西 秀紀 岡山大学, 医学部, 客員研究員 (40509428)
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研究分担者 |
小林 求 岡山大学, 大学病院, 講師 (00457219) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 一酸化窒素吸入 / ラット中大脳動脈閉塞 / 神経学的評価 / 包括的神経学的スケール / 脳梗塞 / 炎症性サイトカイン / NO合成酵素 |
研究実績の概要 |
2023年度は生存率、神経学的予後の結果を踏まえ、吸入一酸化窒素(NO)が脳に実際に到達しているのかどうか、また到達していた場合に脳保護効果は存在するかどうかの検証を行った。永久中大脳動脈閉塞モデルにこれまでの実験と同様にNO吸入(3時間)を施行、脳組織におけるその直後のcGMP濃度、吸入翌日のIL-1β、IL-6、TNFα、Caspase 3濃度につき、Enzyme-Linked Immunosorbent Assay(ELISA)法を用いて定量評価を行った。その結果、IL-1βについてはNO投与により大脳皮質濃度が57%、皮質下濃度が76%(いずれも中央値)まで低下したが、いずれも有意差を得るには至らなかった(P値:皮質濃度0.14、皮質下濃度0.16)。虚血後予後を改善させる可能性があるといわれる、血管内皮細胞由来のNO合成酵素(eNOS)測定が本書類作成時にまだ終わっていないが、これまでの実験を総括すると、以下の結論となる。 永久中大濃度脈閉塞ラットにおいて、虚血直後からの3時間のNO吸入(40ppm)は虚血後の生存率を有意に改善させることができたが、生存ラットの神経学的予後を改善させることはできなかった。1時間投与あるいは20ppmのNO吸入では生存率、神経学的予後ともに差はみられず、NO吸入が永久虚血(臨床では治療にて再開通しない脳梗塞を想定)においては、臨床的に安全と思われる濃度(おおむね25ppm)を超える高濃度かつ長時間の吸入ではじめて生存率のみ高めることが示唆された。一方、NO吸入は炎症性サイトカインの産生を低下させる方向に働くため、吸入されたNOの一部分は脳組織に達しているがその効果は弱く、永久虚血後に生存できたラットの神経学的予後を改善させる力はないと考えられた。2024年9月開催の国際学会(SNACC)発表後早急に論文化の予定である。
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