研究課題/領域番号 |
20K09203
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
恵川 淳二 奈良県立医科大学, 医学部, 准教授 (00453168)
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研究分担者 |
内藤 祐介 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (00623498)
井上 聡己 奈良県立医科大学, 医学部, 病院教授 (50295789)
川口 昌彦 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (60275328)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | プレハビリテーション / Caveolin-1 / 脳虚血 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、Prehabilitationを行なった高齢ラットでは脳虚血後の高次脳機能の予後がPrehabilitationを行わないラットに比べ良好であるという仮説を検証することにある。この検証には、虚血手術が安定して行えるようになることと高次脳機能を評価する検査が問題なく行えることが必須となる。当該年度は、手術手技の確立と本実験へとステップを進めることであった。手術手技の確立に時間を要したが、虚血手術自体は完遂できるようになった。また、行動実験に関しては問題なく施行できるようになった。現在の行動実験の傾向では、プレハビリテーション群とコントロール群で実験結果に大きなばらつきが出ている。虚血の程度が強すぎることが原因を考えて検討している。また、虚血の程度にばらつきが出ている(血圧管理にばらつきが出ている)ことも原因となっている可能性があり、現在検討中である。 本研究においては、Caveolin-1というタンパクがプレハビリテーションの有効性に関連していると仮説を立てて行なっている。このタンパクの発現については、ウェスタンブロットによる生化学的実験とと免疫染色による組織学的検討を用いて行う予定にしていた。当該年度は、まずウェスタンブロットを中心に評価を進めていた。現在使用している、ウェスタンブロットの手技と抗体でCaveolin-1のタンパクを評価できることはわかった。サンプル数が少ないため、さらに検討を要するが現状ではプレハビリテーション群とコントロール群で大きな差が見られていない。これについては、行動実験と同様に、虚血の程度の影響を受けているのかもしれない。今後の検討課題である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
虚血手術の確立に時間がかかった。当初は血管確保の手技の習得に時間を要した。血管確保ができるようになった後も、手技に時間がかかりすぎたり、脱血による虚血の程度のコントロールに難渋し、ラットの生存率が低かったり、虚血の程度にばらつきが出たりなど解決すべき問題が出てきた。手術手技の段階で遅延が生じたため、その後の生化学実験や組織学的実験も開始が遅れることとなった。
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今後の研究の推進方策 |
現在の一番の問題点は、虚血の程度の調整と考えいてる。現在、手術後の死亡数も依然として多く虚血の程度が強すぎる可能性があると考察している。まずは、虚血の程度の調整を行いラットの生存率を上げつつ、確実に一定した虚血を作れるようにしていく。虚血の程度の調整としては、死亡率が減少するように行なっていきたいと考えている。具体的には、現在、外頚静脈より脱血し平均血圧が 35mmHg になったところで両側内頚動脈をクリップで閉塞させ、10 分間の虚血により前 全脳虚血負荷を達成するというプロトコールを使用しているが、平均血圧を少しあげるなどを検討している。また、CT撮影なども利用して虚血の程度を評価することも検討している。 上記の問題を解決し、生化学実験と組織学的実験を進めて、Caveolin-1の発現についても評価していきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
手術手技の確立に時間を要したため、生化学実験や組織学的実験に遅延が生じており、抗体などの薬品や機材の購入が、まだ十分に行えていない。実験手技自体は、ある程度確立したため、引き続き動物の購入を行い実験を進めることと、生化学実験や組織学的実験の道具や薬品の購入に多くを使用していくことになる。
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