研究実績の概要 |
本研究の目的は、Prehabilitationを行なった高齢ラットでは脳虚血後の高次脳機能の予後がPrehabilitationを行わないラットに比べ良好であるという仮説を検証することにある。手術手技の確立に時間を要したが、虚血手術自体は完遂できるようになった。また、行動実験に関しては問題なく施行できている。現在の行動実験の傾向では、プレハビリテーション群とコントロール群で実験結果に大きなはばらつきが出ている。これについては、昨年からの課題であり、血圧や血糖値、動脈血酸素分圧、動脈血二酸化炭素分圧など一定に保てるようにしているがばらつきは大きい。個体差が大きいのかもしれないが、もう少しサンプルサイズを増やして検討をしていく必要がある。本研究においては、Caveolin-1というタンパクがプレハビリテーションの有効性に関連していると仮説を立てて行なっている。このタンパクの発現については、ウェスタンブロットによる生化学的実験と免疫染色による組織学的検討を用いて行っている。行動実験(Passive avoidance)の結果は、プレハビリテーション(+)群(n=11)とプレハビリテーション(-)群(n=12)で有意な差は認めていない(中央値:300 vs 226, Mann-Whitney U P=0.379)。ただし両群ともばらつきが非常に大きいため、サンプル数が増えた段階でもう一度検討が必要となる。両群の虚血時の平均血圧(39±1.8 vs 37.3±1.8, P=0.58), 動脈血pH (7.44±0.03 vs 7.45±0.04,P=0.91),動脈血酸素分圧(159±65 vs 139±32, P=0.08),血糖(272±31 vs 255±55, P=0.07),ヘマトクリット(41.2±1.7 vs 41.4±2.6, P=0.14)であり、両群の手術は同等に行われていると考えられる。
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