研究実績の概要 |
本研究は、気道確保困難での最終手段となる輪状甲状間膜穿刺を安全かつ正確に行うための機器の開発を目的にしている。この研究テーマは、今回の科研費取得によって開始したものではなく、以前から継続して行なっている研究であり、安全な方法の開発の手立てとして、超音波を利用することに新規性がある。 2020年、科研費申請後の研究成果として、輪状甲状間膜穿刺針の長さが不適切に長いと気管後壁の後穿刺の原因となることを突き止めた(Atsuko Katayama, Kunitaro Watanabe, Joho Tokumine, Alan Kawarai Lefor, Harumasa Nakazawa, Ippei Jimbo, Tomoko Yorozu. Cricothyroidotomy needle length is associated with posterior tracheal wall injury: A randomized crossover simulation study (CONSORT). Medicine (Baltimore) 2020; 99(9): e19331.)。 これにより、超音波ガイド下の輪状甲状間膜穿刺での針の長さを検討し、第16回日本医学シミュレーション学会学術集会(会期:2021年1月23日~2月11日)で報告した(渡辺英伸, 徳嶺譲芳, 岡田智香子, 中澤春政, 萬知子. 「超音波ガイドによる輪状甲状間膜穿刺法の開発」)。この時、穿刺針は新たに開発したTuohy型の短針であるが、ガイドワイヤー挿入後からカニューラ留置までは、既存の製品Percutaneous Tracheostomy Kit(Smiths medical co.)を使用した。この製品は、適応外使用となる。また、手技の手順が多いため、救命に時間がない困難気道の状況では、よりシンプルで短時間に行える器具が望ましい。現在、新しい器具の形状を設計している段階である。
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