研究課題/領域番号 |
20K09205
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研究機関 | 杏林大学 |
研究代表者 |
徳嶺 譲芳 杏林大学, 医学部, 教授 (70274909)
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研究分担者 |
中澤 春政 杏林大学, 医学部, 准教授 (10458888)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 輪状甲状間膜穿刺 / 超音波ガイド / 困難気道 |
研究実績の概要 |
超音波ガイド下に輪状甲状間膜穿刺が行える穿刺針を試作した。針の部分は、先端の曲がったTuohy針の構造とし、ガイドワイヤーが円滑に挿入できるよう設計した(第16回日本医学シミュレーション学会学術集会にて発表)。性能を解剖体で検証した。結果は、超音波ガイド下に輪状甲状間膜穿刺が行え、円滑にガイドワイヤーが挿入できたが、穿刺口拡張が不十分で、カニューラの挿入に手間取った。その理由は、確実に輪状甲状間膜穿刺できるTuohy針部分の長さを15mmと設定したため、ダイレーターで輪状甲状間膜を拡張する際に、斜めに挿入せざるを得なく拡張に無理が生じたためと考えられた。 解決策として、ダイレーターを輪状甲状間膜に対して垂直に進めることができるようTuohy針部分とダイレーター部分が分離できる構造に改造した。操作では、超音波ガイド下に輪状甲状間膜を穿刺後、ガイドワイヤーを挿入、Tuohy針部分とダイレーター部分を一体化させているトッパーを解除、ダイレーターを輪状甲状間膜に対して垂直に進めて穿刺孔を拡大する。その際、ガイドワイヤーが、Tuohy針およびダイレーターの先端が、気管後壁に迷入することを防ぐ役割を果たすように設計した(後壁誤穿刺防止機能)。ダイレーション後、ガイドワイヤーを残して、Tuohy針部分とダイレーター部分を抜去(Tuohy針の先端が曲がっているため、Tuohy針を抜く操作で、ダイレーターも同時に抜去できる)し、ガイドワイヤーから既製品の気管チューブ(内径6mm,カフなし)を挿入するという構造にした。解剖体を用いた実証実験では、初回で輪状甲状間膜穿刺に成功し、穿刺からチューブ挿入まで操作時間は80秒だった。また、後壁誤穿刺はなかった。以上の結果を、日本麻酔科学会第70回学術集会(超音波ガイドで行う輪状甲状間膜穿刺針の開発, 神戸, 2023年6月2日)で発表予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍で、最初の試作品の制作に1年以上の遅れが生じたが、超音波ガイド輪状甲状間膜穿刺針の改良はほぼ予定通りに進行している。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究計画として、操作時間短縮のための改良を試み、その後は、研修医や医学生を対象としたシミュレーション研究に移行する予定である。シミュレーション研究では、市販の輪状甲状間膜穿刺キットと今回開発した超音波ガイド輪状甲状間膜穿刺針を、豚喉頭を用いて比較検討する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍のため、超音波ガイド輪状甲状間膜穿刺キットのプロトタイプの作成の開始が約1年遅れて、改良もその分遅れている。 今年度は、解剖体への使用後の改良を行い、さらにシミュレーション研究を開始する。そのために、穿刺針キットの改良費が必要であり、さらにシミュレーショントレーニングのための豚喉頭の購入を行う予定である。
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